December 11, 1997 Vol. 337 No. 24
下肢の伏在静脈バイパスグラフトの長期開存に及ぼすチクロピジンの効果
EFFECT OF TICLOPIDINE ON THE LONG-TERM PATENCY OF SAPHENOUS-VEIN BYPASS GRAFTS IN THE LEGS
J.-P. BECQUEMIN
下肢における動脈バイパスグラフトの後期閉塞を予防する最適な療法は確定していない.われわれは,血小板凝集阻害剤であるチクロピジンが,末梢血管疾患の治療における伏在静脈バイパスグラフトの長期開存に及ぼす効果を評価した.
大腿膝窩または大腿脛骨伏在静脈バイパスグラフト患者 243 人を,チクロピジン(250 mg 1 日 2 回)を 2 年間投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは 2 年でのグラフト開存とし,身体診察,足関節上腕血圧比,デュプレックス超音波検査または動脈造影によって評価した.死亡および主要な虚血性イベントの発生率も 2 群で分析した.
2 年後,チクロピジン群ではグラフトが開存した状態で生存したのは患者の 66.4%であったのに対し,プラセボ群では 51.2%であった(2 群の差に関する 95%信頼区間,2.9~27.4;p=0.02).2 年累積開存率はチクロピジン群で 82%,プラセボ群で 63%であった(p=0.002).全死亡率,虚血性イベントについては,群間に有意差を認めなかった.
チクロピジンは下肢の伏在静脈バイパスグラフトの長期開存を改善した.チクロピジンの忍容性は良好であったため,末梢静脈パイパス手術後には本剤の使用が推奨される.