The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 31, 1997 Vol. 337 No. 5

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

腰部障害予防のための教育プログラムに関する対照臨床試験
A CONTROLLED TRIAL OF AN EDUCATIONAL PROGRAM TO PREVENT LOW BACK INJURIES

L.H. DALTROY AND OTHERS

背景

腰部障害は一般的で,コストは労働者補償によって支払われる障害の 15~25%を占め,その支払いの 30~40%はその教育プログラムの下で行われる.障害の高コスト,有効治療の欠如,および行動的危険因子があることから,安全な持ち上げ方および取り扱い方を教える労働者教育プログラムが広範に利用されるようになった.しかし,それらのプログラムの有効性は,厳密な評価をほとんど受けていない.

方 法

われわれは,郵便職員約 4,000 人に関する無作為対照臨床試験において,腰部障害を予防するようデザインされた教育プログラムを評価した.このプログラムは,いわゆる腰痛教育において幅広く用いられているものと同様で,経験のある理学療法士が指導する.労働者および監督者からなる労働単位を 2 回の腰痛教室(3 時間の指導)において指導し,その後数年のあいだに 3~4 回の補強指導を行った.障害被験者(教育群および対照群の双方からの)をもう一度,職場復帰後に指導または指導なしのいずれかの群に無作為に割付けた.

結 果

理学療法士は郵便職員 2,534 人および監督者 134 人を指導した.追跡調査期間 5.5 年のあいだに,労働者 360 人が腰部障害を報告し,これは有リスク労働者 1,000 人当り 21.2 回の障害率であった.障害当りの休職日数の中央値は 14 日(範囲,0~1,717);費用の中央値は 204 ドル(範囲,0~190,380 ドル)であった.職場に復帰後,労働者 75 人が再度腰を痛めた.教育群と対照群に関して比較したところ,教育プログラムは,腰部障害の発生率,障害当りの費用の中央値,障害当りの休職日数,関連する骨格筋障害の発生率,または職場復帰後の障害再発率を減少させないことが判明した;指導によって増加したのは,安全な行動に関する被験者の知識のみであった.

結 論

労働による腰部障害予防のための教育プログラムに関する大規模無作為対照臨床試験では,指導に関連した長期的な利益をみいださなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 322 - 8. )