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August 21, 1997 Vol. 337 No. 8

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妊娠中の単純ヘルペスウイルス感染
THE ACQUISITION OF HERPES SIMPLEX VIRUS DURING PREGNANCY

Z.A. BROWN AND OTHERS

背景

妊娠中の陰部ヘルペスの感染により,自然流産,早産,および先天性ヘルペスや新生児ヘルペスが起こる.血清抗体の陽性化の頻度,疾患の母体症状,および妊娠の転帰に最大の影響を及ぼす時期は,系統的に研究されていない.

方 法

われわれは,血清学的検査により単純ヘルペスウイルス(HSV)感染のリスクを有することが示された妊娠女性 7,046 人を調べた.出生前の初回診療時,妊娠約 16 週と 24 週,そして分娩中に得た血清サンプルを,ウェスタン・ブロットアッセイによって HSV 1 型および 2 型(HSV-1 および HSV-2)に対する抗体の有無に関して調べ,結果を出生前の性器感染症の発生と相関させた.

結 果

女性 94 人が HSV 血清陽性となった;女性 94 人中 34 人(36%)が,ヘルペス感染症と一致する症状を示した.最初,HSV-1 と HSV-2 の双方に対して血清陰性であった女性が,いずれかのウイルスに対して血清抗体が陽性化する推定確率は 3.7%であった;最初,HSV-1 に対してのみ血清陽性であった女性が HSV-2 の血清抗体が陽性化する推定確率は 1.7%;そして最初 HSV-2 血清陽性であった女性が HSV-1 感染症を罹患する推定確率はゼロであった.HSV 感染症を罹患した時期がわかっている妊娠 94 例中 60 例では,感染症の 30%は第一トリメスターに起こり,30%が第二トリメスター,そして 40%が第三トリメスターに起こった.分娩時までに HSV 血清抗体の陽性化が起こっていたことは,新生児罹患率の増加,またはいかなる症例の先天性ヘルペス感染症にも関係しなかった.しかし,分娩の少し前に性器 HSV 感染症を罹患した女性 9 人に生まれた新生児では,新生児 HSV 感染症が 4 人に起こり,そのうち 1 人が死亡した.

結 論

感受性のある女性の 2%以上が妊娠中に HSV 感染症に罹患する.分娩までに抗体の陽性化が完了した感染症の罹患は妊娠転帰に影響を及ぼさないように思われるが,分娩時近くに感染症に罹患すると,新生児ヘルペスおよび周産期罹患率に関係する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 509 - 15. )