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July 10, 1997 Vol. 337 No. 2

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子癇前症予防のためのカルシウムの臨床試験
TRIAL OF CALCIUM TO PREVENT PREECLAMPSIA

R.J. LEVINE AND OTHERS

背景

これまでの臨床試験により,妊娠中のカルシウム補充が子癇前症のリスクを減少させる可能性があることが示唆された.しかし,試験デザインの違い,および対象集団は日常の食事中のカルシウム摂取量が低いことから,データをすべて受け入れるわけにはいかない.

方 法

妊娠 13~21 週の健康な未産女性 4,589 人を無作為割付けして,カルシウム成分 2 g またはプラセボによる治療を,残りの妊娠週のあいだ毎日行った.治療群の割付けを知らない職員が,定期的に予定された分娩前診察時の血圧および尿蛋白排泄の標準的検査,分娩入院中のこれらの測定値をモニターするプロトコール,ならびに予定外外来診療およびすべての入院に関する診療記録の再検討を用いて,子癇前症の調査を実施した.

結 果

カルシウム補充は,子癇前症の発生率または重症度を有意に減少させず,またその発症を遅らせなかった.子癇前症はカルシウム群では女性 2,295 人中 158 人(6.9%)に起り,プラセボ群では女性 2,294 人中 168 人(7.3%)に起った(相対危険度,0.94; 95%信頼区間,0.76~1.16).子癇前症を伴わない妊娠関連高血圧症(15.3% 対 17.3%)または高血圧疾患全体(22.2% 対 24.6%)の発生率は,2 群で有意差を認めなかった.妊娠中の収縮期および拡張期平均血圧は,両群で同様であった.カルシウムは早産数,妊娠週齢と比較した低体重児数,または死産および新生児死亡数を減少させず; 妊娠中の尿石症を増加させなかった.

結 論

妊娠中のカルシウム補充は,健康な未産女性における子癇前症,妊娠関連高血圧症または分娩前後の有害な転帰を予防しなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 69 - 76. )