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September 25, 1997 Vol. 337 No. 13

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肝包虫嚢胞に対する経皮ドレナージと手術との比較
PERCUTANEOUS DRAINAGE COMPARED WITH SURGERY FOR HEPATIC HYDATID CYSTS

M.S. KHUROO AND OTHERS

背景

最近,経皮ドレナージは,エキノコックスによる肝包虫嚢胞の治療に用いて成功を収めてきた.われわれは,対照臨床試験を実施して,経皮ドレナージの安全性と有効性を,従来の治療である外科的嚢胞切除術と比較した.

方 法

プロスペクティブ試験において,われわれは肝包虫症患者 50 人を無作為割付けして,経皮ドレナージ(患者 25 人)または嚢胞切除術(25 人)による治療を行った.経皮ドレナージを行った患者には,アルベンダゾール(10 mg/kg 体重/日を 8 週間)を投与した.臨床および生化学検査,超音波造影,およびエキノコックス抗体価の血清学的検査を含む連続評価を行った.

結 果

平均(±SD)入院日数は,ドレナージ群で 4.2±1.5 日,そして手術群で 12.7±6.5 日であった(p < 0.001).17 ヵ月に及ぶ平均追跡期間では,平均嚢胞直径は,経皮ドレナージ後 8.0±3.0 から 1.4±3.5 cm(p < 0.001)に,そして手術後では 9.1±3.0 から 0.9±1.8 cm(p < 0.001)へと減少した.最終嚢胞直径は 2 群で有意差はなかった(p = 0.20).ドレナージ群では患者 22 人(88%)そして手術群では 18 人(72%)において,嚢胞が消失した(p = 0.29).初回上昇後,エキノコックス抗体価は漸減し,最後の追跡調査では,ドレナージ群では患者 19 人(76%)そして手術群では 17 人(68%)において陰性(<1:160)であった(p = 0.74).ドレナージ群では患者 8 人(32%)および手術群では 21 人(84%)に治療関連合併症を認め,そのうち 17 人は術後の発熱であった(p < 0.001).

結 論

経皮ドレナージとアルベンダゾール療法との併用は,単純肝包虫嚢胞の治療に対し,手術の有効かつ安全な代用法であり,入院期間が短くてすむ.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 881 - 7. )