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July 2, 1998 Vol. 339 No. 1

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鎌状赤血球貧血と経頭蓋ドプラー超音波検査に異常な結果を示す子供の輸血による初回発作の予防
PREVENTION OF A FIRST STROKE BY TRANSFUSIONS ON CHILDREN WITH SICKLE CELL ANEMIA AND ABNORMAL TRANSCRANIAL DOPPLER ULTRASONOGRAPHY

R.J. ADAMS AND OTHERS

背景

輸血は,鎌状赤血球貧血の患児における再発性発作を予防するが,初回発作の予防における輸血の有用性は不明である.われわれは,経頭蓋ドプラ超音波検査を用いて,発作のリスクが高い鎌状赤血球貧血の患児を同定し,標準治療を行う群と,初回発作の予防を目的として輸血を行う群に無作為に割り付けた.

方 法

試験の参加は,鎌状赤血球貧血で発作の既往のない患児で,経頭蓋ドプラ検査を 2 回行い,内頸動脈または中大脳動脈の平均血流速度の時間平均が 200 cm/秒以上であることを示したものとした.患児を無作為化し,標準治療,またはヘモグロビン S 濃度を総ヘモグロビン濃度の 30%未満に減少させるために輸血を行った.発作(脳梗塞または頭蓋内出血)の発生率を 2 群で比較した.

結 果

130 例(平均年齢 [±SD],8.3±3.3 歳)を登録した;無作為化し,63 例に輸血を行い,67 例に標準治療を行った.ベースラインでは,輸血群のほうが,平均血清ヘモグロビン値の平均がわずかに低く(7.2 g/dL 対 7.6 g/dL,p = 0.001),ヘマトクリット値の平均もわずかに低かった(20.4% 対 21.7%,p = 0.002).輸血群では 10 例が試験を中止し,2 例が標準治療群から輸血群へと切り替えた.標準治療群では脳梗塞 10 例,脳内血腫 1 例を認めたのに対し,輸血群では脳梗塞 1 例で,発作のリスクには 92%の差があった(p<0.001).この結果により試験を早期中止した.

結 論

輸血は,経頭蓋ドプラ超音波検査で異常な結果を示した鎌状赤血球貧血の患児の初回発作のリスクを大きく減少させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 5 - 11. )