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January 7, 1999 Vol. 340 No. 1

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高齢者における心筋梗塞と脳卒中の危険因子としての頸動脈内膜中膜複合体厚
CAROTID-ARTERY INTIMA AND MEDIA THICKNESS AS A RISK FACTOR FOR MYOCARDIAL INFARCTION AND STROKE IN OLDER ADULTS

D.H. O'LEARY AND OTHERS

背景

頸動脈の内膜と中膜をあわせた厚さは,心血管系の疾患の発症率に関連している.われわれは,臨床的な心血管系疾患を有していない人々を対象として,頸動脈の内膜と中膜の厚さと初発の心筋梗塞または発作の発症率との関連を調査した.

方 法

65 歳以上の 5,858 例の被験者に対して,総頸動脈と内頸動脈の内膜および中膜の高分解能超音波検査を用いた非侵襲的な測定を行った.中央値 6.2 年間の追跡期間を通して,心血管系に発現したイベント(初発の心筋梗塞または発作)を,心血管系の疾患を臨床的に有していない被験者(4,476 例)の転帰変数とした.

結 果

心血管系のイベントの発現率は,頸動脈の内膜-中膜の厚さの測定値と相関していた.心筋梗塞または発作の相対リスクは,内膜-中膜の厚さに比例して上昇した(p<0.001).膜の厚さの分布の 5 分位群について,もっとも薄い群と比較したときのもっとも厚い群の心筋梗塞または発作の相対リスク(年齢と性別について補正)は 3.87 であった(95%信頼区間,2.72~5.51).心血管系のイベントと内膜-中膜の厚さとの関連性は,従来のリスク因子で調整しても有意なままであり,内膜-中膜を合わせた厚さの各 5 分位点のリスクは,第二 5 分位群(相対リスク,1.54;95%信頼区間,1.04~2.28)から,第三 5 分位群(相対リスク,1.84;95%信頼区間,1.26~2.67),第四 5 分位点群(相対リスク,2.01;95%信頼区間,1.38~2.91),第五 5 分位点群(相対リスク,3.15;95%信頼区間,2.19~4.52)へと上昇することを示していた.心筋梗塞と発作を別々に分けて解析した結果は,これらをあわせて解析したエンドポイントの結果と対応していた.

結 論

超音波検査で非侵襲的に測定した頸動脈の内膜と中膜の肥厚は,心血管系疾患の病歴のない高齢者の心筋梗塞と発作のリスクの上昇と直接的な関連がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 14 - 22. )