The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 7, 1999 Vol. 340 No. 1

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

嚢胞性線維症の患者に対する吸入用トブラマイシンの間欠投与
INTERMITTENT ADMINISTRATION OF INHALED TOBRAMYCIN IN PATIENTS WITH CYSTIC FIBROSIS

B.W. RAMSEY AND OTHERS

方 法

嚢胞性線維症と Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)感染症の患者を対象として,二つの,多施設による吸入用トブラマイシン間欠投与についての二重盲検プラセボ対照比較試験を実施した.合計で 520 例の患者(平均年齢,21 歳)を,吸入用トブラマイシンの 300 mg またはプラセボの 1 日 2 回,4 週間投与に無作為に割り付けた.なお,投与後には,試験薬剤を投与せずに 4 週間の経過観察が行われるようになっていた.患者は,試験薬剤による治療またはプラセボ投与を全体で 24 週間にわたり試験薬剤の投与と非投与を含め 3 サイクル行った.エンドポイントは,肺機能,喀痰中の P. aeruginosa の濃度,および入院などであった.

結 果

試験 0 週目と比較したときの 20 週目の努力肺活量の 1 秒量(FEV1)は,吸入用トブラマイシンの治療を受けた患者では,その平均増加で 10%の増加が認められたが,プラセボ投与の患者では FEV1 に 2%の減少が認められた(p<0.001).試験 0 週目から 20 週目までの P. aeruginosa の濃度は,トブラマイシン群では,喀出痰の 1 g 当りの平均値で 0.8 log10 コロニー形成単位(CFU)で減少していったのに対して,プラセボ群では 0.3 log10 CFU/g で増加していった(p<0.001).入院については,トブラマイシン群の入院患者は 26%と(95%信頼区間,2~43%),プラセボ群よりも少なかった.吸入用トブラマイシンには,検出できるような聴覚毒性または腎毒性の作用との関連性も,血清中の薬物蓄積との関連性も認められなかった.トブラマイシンの最小発育阻止濃度(MIC)が 8 μg/mL 以上の P. aeruginosa が分離された患者の割合は,トブラマイシン群では,試験 0 週目の 25%から試験 24 週目の 32%へと増加したのに対して,プラセボ群では試験 0 週目の 20%から試験 24 週目の 17%へと減少した.

結 論

嚢胞性線維症の患者を対象とした 24 週間の試験において,吸入用トブラマイシンの間欠投与は,十分に忍容できるものであり,しかも肺機能を改善し,喀痰中の P. aeruginosa 濃度と入院のリスクを低下させた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 23 - 30. )