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January 28, 1999 Vol. 340 No. 4

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シスプラチンとエトポシドで治療した限局型小細胞肺癌に対する胸部放射線療法の 1 日 1 回照射と 1 日 2 回照射との比較
TWICE-DAILY COMPARED WITH ONCE-DAILY THORACIC RADIOTHERAPY IN LIMITED SMALL-CELL LUNG CANCER TREATED WITH CISPLATIN AND ETOPOSIDE

A.T. TURRISI, III, AND OTHERS

背景

片側胸郭に限局した小細胞肺癌(限局型小細胞肺癌)に対しては,胸部放射線療法が生存を向上させるが,化学療法と胸部放射線療法を組み合せる最適な方法はいまだ確立されていない.胸部放射線療法の照射間隔を短縮し,1 日 2 回照射する方法は,1 日 1 回照射する方法よりも優れている可能性がある.

方 法

限局型小細胞肺癌患者 417 例を対象として試験を行った.全例が,21 日間隔のシスプラチンとエトポシドの 4 サイクルの治療を受けた.この化学療法と同時に,総線量 45 Gy の胸部放射線療法を,1 日 2 回の照射で 3 週間かけて行う群と,1 日 1 回の照射で 5 週間かけて行う群に,患者を無作為に割り付けた.

結 果

化学療法の 1 サイクル目から開始した 1 日 2 回照射の放射線療法は,1 日 1 回照射の放射線療法と比較して生存を有意に改善させた(log-rank 検定で p=0.04).追跡期間中央値約 8 年の時点で,生存期間の中央値は,1 日 1 回照射群で 19 ヵ月,1 日 2 回照射群で 23 ヵ月であった.1 日 1 回照射の放射線療法を受けた患者の 2 年生存率は 41%,5 年生存率は 16%であった.1 日 2 回照射の放射線療法を受けた患者の 2 年生存率は 47%,5 年生存率は 26%であった.1 日 2 回照射の胸部放射線療法では,グレード 3 の食道炎の頻度が有意に高く,患者の 27%に発現したのに対して,1 日 1 回照射群では 11%のみであった(p<0.001).

結 論

シスプラチンとエトポシドの 4 サイクルの治療と,この化学療法の 1 サイクル目から開始した 1 コースの放射線療法(1 日 1 回照射または 1 日 2 回照射で,総線量 45 Gy)によって,二つの照射法を合わせて 2 年生存率 44%,5 年生存率 23%という結果が得られたが,これらの生存率は,限局型小細胞肺癌患者を対象とした先行試験の結果を大幅に上回っている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 272 - 71. )