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February 11, 1999 Vol. 340 No. 6

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良性乳腺生検標本にみられる放射状瘢痕と乳癌のリスク
RADIAL SCARS IN BENIGN BREAST-BIOPSY SPECIMENS AND THE RISK OF BREAST CANCER

T.W. JACOBS, C. BYRNE, G. COLDITZ, J.L. CONNOLLY, AND S.J. SCHNITT

背景

放射状瘢痕(radial scars)は,臨床的な意義がはっきり確認されていない良性乳腺病変である.とくに,良性の乳腺疾患の女性において,このような病変が乳癌のリスクを変化させるか否かは解っていない.そこで,われわれは,放射状瘢痕が認められた良性の乳腺病変の女性,あるいは放射状瘢痕が認められなかった良性の乳腺病変の女性についてのケースコントロール調査を実施した.

方 法

看護婦の健康調査(Nurses' Health Study)に登録された 1,396 例の女性から得られた良性の乳腺生検標本を再検討した.これらの女性には,後に乳癌が発症した 255 例の女性と乳癌にはならなかった 1,141 例の女性(対照)が含まれていた.対照の女性は,年齢と良性病変が同定された年に従って,後に乳癌が発症した女性と一致させた.良性病変が同定された生検からの追跡調査の期間は,中央値で 12 年であった.

結 果

放射状瘢痕は,99 例(7.1%)の女性の生検標本において同定された.放射状瘢痕が同定された生検標本のほとんどは 1 個の放射状瘢痕しか同定されず(60.6%),偶然の顕微鏡学的所見として同定されたというような傾向があった(大きさの中央値,4.0 mm).放射状瘢痕が同定された女性の乳癌のリスクは,良性の乳腺疾患の組織型にはかかわらず,瘢痕が同定されなかった女性のリスクのほぼ 2 倍であった(相対リスク,1.8; 95%信頼区間,1.1~2.9).非増殖性疾患の女性と比較したときの異型が認められなかった増殖性疾患の女性の乳癌の相対リスクは,放射状瘢痕が同定された女性では 3.0(95%信頼区間,1.7~5.5),放射状瘢痕が同定されなかった女性では 1.5(95%信頼区間,1.1~2.1)あった.非増殖性疾患の女性と比較したときの異型細胞の過形成が認められた女性の乳癌の相対リスクは,放射状瘢痕が同定された女性では 5.8(95%信頼区間,2.7~12.7),放射状瘢痕が同定されなかった女性では 3.8(95%信頼区間,2.4~5.9)あった.

結 論

放射状瘢痕は,乳癌の独立した組織学的なリスク因子である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 430 - 6. )