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February 25, 1999 Vol. 340 No. 8

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全米のいくつかの州に起った食品を介する A 型肝炎の発生
A MULTISTATE, FOODBORNE OUTBREAK OF HEPATITIS A

Y.J.F. HUTIN AND OTHERS

背景

1997 年の 2 月~3 月にミシガン州で起った食物を介する大規模な A 型肝炎の発生に関する調査を行った.さらに,この調査を発展させて,この発生の原因と疑われていた冷凍イチゴを食べた人々において他州で報告された散発的な症例との関連性についても検討した.

方 法

A 型肝炎の症例については血清学的に確認した.調査に十分な例数の症例が発生したミシンガン州とメイン州の 2 州において疫学調査を実施した.今回の発生で報告された A 型肝炎の症例とこれ以外の A 型肝炎の症例から得られたウイルスの関連性を調べるために,臨床検体から検出された A 型肝炎ウイルスの RNA の塩基配列を決定した.

結 果

今回の A 型肝炎は,ミシンガン州の 23 校から合計 213 例,メイン州の 13 校から合計 29 例が報告され,これらの学校における発生率の中央値は 0.2~14%であった.ミシンガン州のケース・コントロール調査(発病のオッズ比,8.3;95%信頼区間,2.1~33)とコホート調査(感染の相対リスク,7.5;95%信頼区間,1.1~53),およびメイン州のケース・コントロール調査(感染のオッズ比,3.4;95%信頼区間,1.0~14)において,A 型肝炎は冷凍イチゴの摂食と関連があった.ミシガン州とメイン州の 126 例の患者から検出されたウイルスの遺伝子配列は同一であった.また,ウイスコンシン州の 5 例とアリゾナ州の 7 例の患者から検出されたウイルスとも同一であった.しかも,これらの患者の全例が同じ食品加工業者の冷凍イチゴが給食に出された学校に通っていた.さらに,ルイジアナ州の 2 例の患者から検出されたウイルスとも同一であり,この 2 例も同じ食品加工業者の冷凍イチゴを使用して作られた市販の食品を食べていた.

結 論

われわれは,冷凍イチゴの摂食に関連したミシガン州の A 型肝炎の大発生についての調査結果を報告する.ミシガン州以外の州で散発的と思われる症例が認められたが,これらの症例は,ウイルスの遺伝子分析から同じ汚染源に関連づけることができた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 595 - 602. )