The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 25, 1999 Vol. 340 No. 8

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

精神分裂病のリスクに対する家族歴と出生地および季節の影響
EFFECTS OF FAMILY HISTORY AND PLACE AND SEASON OF BIRTH ON TNE RISK OF SCHIZOPHRENIA

P.B. MORTENSEN AND OTHERS

背景

精神分裂病のもっとも確立されたリスク因子は精神分裂病の家族歴であるが,出生地と出生季節のような環境因子が重要であることも考えられる.

方 法

デンマークの国民登録制度のデータを用いて,1935~78 年までに生まれたデンマーク人の女性を母親にもつ 175 万人の母集団に基づいたコホートを設定した.このコホートをデンマーク精神医学中央登録名簿に照らし合わせて,このコホートの構成メンバーから 2,669 例の精神分裂病患者を識別するとともに,その両親からも精神分裂病患者を識別した.

結 果

両親または同胞に精神分裂病患者がいない人々との比較において,母親,父親,または同胞が精神分裂病の人々の精神分裂病の相対リスクは,それぞれ 9.31(95%信頼区間,7.24~11.96),7.20(95%信頼区間,5.10~10.16),および 6.99(95%信頼区間,5.38~9.09)であった.この精神分裂病のリスクは,出生地の都市化の程度と関連があった(首都と田園地方を比較したときの相対リスク,2.40;95%信頼区間,2.13~2.70).また,このリスクは出生季節とも有意な関連があった;すなわち,精神分裂病の相対リスクは 2 月と 3 月の出生がもっとも高く,8 月と 9 月の出生がもっとも低かった.母集団寄与リスクは,両親または同胞の精神分裂病の病歴が 5.5%,都市部での出生が 34.6%,そして出生季節が 10.5%であった.

結 論

両親または同胞の精神分裂病の病歴は,本疾患の発症のもっとも高い相対リスクであると考えられるが,母集団規模では,出生地と出生季節がさらに多くの症例に対する病因の説明となっている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 603 - 8. )