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March 4, 1999 Vol. 340 No. 9

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反復性感染症を伴った高 IgE 症候群 ― 常染色体性優性遺伝の多臓器障害
Hyper-IgE Syndrome with Recurrent Infections — Autosomal Dominant Multisystem Disorder

B. GRIMBACHER AND OTHERS

背景

反復性感染症を伴った高 IgE 症候群は,皮膚および肺の反復性の膿瘍と血清中の IgE 濃度の異常上昇を特徴とするまれな免疫不全症である.この疾患に特有の顔面および骨格の特徴があることがわかっているが,その頻度は不明であり,高 IgE 症候群の遺伝学的レベルの基礎もあまり理解されていない.

方 法

高 IgE 症候群の患者 30 例と,その血縁者 70 例を対象として試験を実施した.病歴を聴取するとともに医療記録を詳しく調査した.理学的検査と歯科検査を実施し,人体計測と臨床検査を行った.

結 果

高 IgE 症候群の非免疫学的特徴は,8 歳を超えた患者の全例に認められた.以前には高 IgE 症候群の特徴として認められていなかった歯根吸収の欠如による乳歯の非脱落,あるいは脱落遅延が,72%の患者に認められた.これらの患者に共通して認められた所見は,再発性の骨折(患者の 57%),関節の過伸展(患者の 68%),および背柱側湾症(16 歳以上の患者の 76%)であった.膿瘍,肺炎,および IgE 濃度の上昇という典型的な三主徴は,全患者の 77%,8 歳を超える患者の 85%に認められた.IgE 濃度は,23 例の成人患者のうちの 6 例(26%)では,時間経過とともに低下して,正常域に近づくかあるいは正常域になった.高 IgE 症候群は,常染色体性の優性遺伝であることが確認されたが,その遺伝子の発現度はさまざまであった.高 IgE 症候群の遺伝のリスクを有していた 27 例の血縁者に関しては,10 例が完全に発症し,11 例はまったく発症していなかった.そして 6 例には,高 IgE 症候群の免疫学,歯科学,および骨格上のいくつかの軽度の特徴が発現していた.

結 論

高 IgE 症候群は,歯列,骨格,結合組織,および免疫系に発現する多臓器障害である.本疾患は,発現度の異なる一つの遺伝子座の常染色体優性を特徴として遺伝する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 692 - 702. )