The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 28, 1999 Vol. 341 No. 18

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

インフルエンザの予防を目的とした選択的経口ノイラミナーゼ阻害薬オセルタミビルの使用
Use of the Selective Oral Neuraminidase Inhibitor Oseltamivir to Prevent Influenza

F.G. HAYDEN AND OTHERS

背景

インフルエンザウイルスの A 型および B 型による感染症の予防には,安全で有効な抗ウイルス薬が必要である.オセルタミビル(GS4104)は,経口投与が可能であり,インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに対する強力かつ選択的な阻害薬 GS4071 のプロドラッグである.今回,われわれは,1997~98 年の冬期に,米国のそれぞれ異なる施設で実施した二つのプラセボを対照とした二重盲検比較試験において,インフルエンザに対する長期予防におけるオセルタミビルの使用についての検討を行った.

方 法

健常な予防接種を受けていない 18~65 歳までの成人 1,559 例を,経口オセルタミビル(1 日用量を 75 mg または 150 mg として,1 回用量 75 mg の 1 日 1 回または 2 回の連日投与)またはプラセボのいずれかを,それぞれの地域でインフルエンザウイルスの活動が最高に達していた期間に 6 週間にわたって投与する治療に無作為に割り付けた.有効性に関する主要エンドポイントは,検査で確認されたインフルエンザ様症状であった(最低 1 種類の呼吸器症状と全身症状を伴った 37.2℃以上の発熱と定義した).

結 果

二つの試験を併合した場合には,オセルタミビルの 1 日 1 回または 1 日 2 回のいずれかの投与に割り付けられた被験者がインフルエンザに罹るリスクは(それぞれ 1.2%と 1.3%),プラセボに割り付けられた被験者のリスクよりも低かった(4.8%;オセルタミビルの 1 日 1 回投与と 1 日 2 回投与との比較において,それぞれ p<0.001 および p = 0.001).この二つの実薬治療群を併合したときのオセルタミビルの予防効果は,全施設の合計では 74%(95%信頼区間,53~88%),バージニア州の施設のみでは 82%(95%信頼区間,60~93%)であった.バージニア州では,インフルエンザへの感染率が全施設の感染率よりも高かった.ウイルス培養で確認されたインフルエンザについては,二つのオセルタミビル群を併合したときの予防効果は 87%(95%信頼区間,65~96%)であった.検査で確認されたインフルエンザへの感染率は,オセルタミビルがプラセボよりも低かった(5.3% 対 10.6%,p<0.001).オセルタミビルは十分に耐容できるものであったが,悪心(1 日 1 回および 2 回投与群で,それぞれ 12.1%,14.6%)および嘔吐(それぞれ 2.5%,2.7%)の発現頻度は,プラセボ群(悪心,7.1%;嘔吐,0.8%)よりも高頻度になっていた.しかしながら,実薬またはプラセボの早期中止の頻度は 3 群間で同程度であっ た(3.1~4.0%).

結 論

オセルタミビルの経口経路による 6 週間の連日投与は,インフルエンザの予防において安全かつ有効である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 1336 - 43. )