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July 29, 1999 Vol. 341 No. 5

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癌化学療法中に好中球減少症をきたした低リスク発熱患者に対する経験的抗菌薬の経口投与と静脈内投与との二重盲検比較
A Comparison of Empirical Oral and Intravenous Antibiotic Therapy for Low-Risk Febrile Patients with Neutropenia during Chemotherapy

A. FREIFELD AND OTHERS

背景

癌化学療法中に発熱と好中球減少症を発症した合併症のリスクの低い患者に対しては,経験的な広域抗菌薬の経口投与が,静脈内投与にかわって選択可能な治療法の一つであると思われる.

方 法

癌化学療法の実施中に発熱と好中球減少症を発症した患者(年齢,5~74 歳)を対象として,プラセボを対照とした無作為二重盲検比較試験を実施した.好中球減少症の持続期間が最長 10 日間と予測される,基礎疾患を有しない患者を対象とした.シプロフロキサシンとアモキシシリン・クラブラン酸の経口併用投与,またはセフタジジムの静脈内投与のいずれかに患者を割り付けた.患者は,発熱と好中球減少症が消失するまで入院した.

結 果

組み入れられたエピソードは各群 116 件であった(患者数は経口療法群 84 例,静注療法群 79 例).各群の入院時における平均好中球数は,それぞれ 81/mm3 および 84/mm3 であった;好中球減少症の平均持続期間は,それぞれ 3.4 日および 3.8 日であった.変更の必要性なく治療が成功したのは,経口療法群のエピソードの 71%,静注療法群のエピソードの 67%であった(群間差,3%;95%信頼区間,-8%~15%;p=0.48).レジメン変更の必要性により治療失敗とみなされたのは,各群のエピソードのそれぞれ 13%および 32%であり(p<0.001),患者のレジメン不耐により治療失敗とみなされたのは,それぞれ 16%および 1%であった(p<0.001).死亡例はなかった.治療不耐性の発生率は,経口抗菌薬では 16%,プラセボでは 8%であった(p=0.07).

結 論

癌化学療法中に発熱と好中球減少症を発症した低リスクの入院患者において,シプロフロキサシンとアモキシシリン・クラブラン酸の経口薬の併用による経験的治療は,安全であり有効である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 305 - 11. )