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August 5, 1999 Vol. 341 No. 6

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営利目的の病院の所有形態とメディケア支出の上昇との関連性
The Association between For-Profit Hospital Ownership and Increased Medicare Spending

E.M. SILVERMAN, J.S. SKINNER, AND E.S. FISHER

背景

米国では,近年,病院の所有形態が営利目的の所有へと変更される割合が増加しているが,医療費との関連は不明である.

方 法

そこで,われわれは,営利病院および非営利病院によって医療サービスが提供されている各地域の 1 人当りのメディケア(老齢者医療保障制度)の総支出額を比較した.米国病院協会(American Hospital Association)のデータを利用して,1989 年,1992 年,および 1995 年の米国の病院サービス地域を,営利地域(その地域の全病床が営利病院の病床であったことを意味している),非営利地域(その地域の全病床が非営利病院の病床であった),あるいは営利と非営利の混合地域に分類した.さらに,メディケア年次記録標本(the Continuous Medicare History Sample)のデータを利用して,1989年,1992 年,および 1995 年のそれぞれの地域の支出額を,支出に影響することが知られている以下のような特性を補正して算出した:年齢,性別,人種,米国の地方,都市部の住民の割合,メディケア受益者の死亡率,病院数,1 人当りの医師数,医学校附属病院の病床数の割合,系列病院に属する病院の病床数の割合,健康維持機構に登録されているメディケア受益者の割合.

結 果

今回検討した年に,その地域のすべての病院が営利目的の所有形態のままであった 208 地域における 1 人当りのメディケアの総支出額は,地域の全病院が非営利の所有形態のままであった 2,860 地域よりも多かった(1989 年が $ 4,006 対 $ 3,554,1992 年が $ 4,243 対 $ 3,841,1995 年が $ 5,172 対 $ 4,440;各年におけるそれぞれの比較で p<0.001).混合地域の支出額は,これらの二つの地域の中間の額であった.営利地域の支出額は,検討したサービスの各分類において非営利地域よりも多かった:病院のサービス,医師のサービス,在宅医療,および他の施設のサービス.1 人当たりの支出額における 1989~95 年までの増加がもっとも大きかったのは,病院のサービス(営利地域の平均増加額は $ 395,非営利地域の平均増加額は $ 283,営利地域と非営利地域の比較で p=0.03),在宅医療(営利地域の平均増加額は $ 457,非営利地域の平均増加額は $ 324,営利地域と非営利地域の比較で p<0.001)であった.1989~95 年までに,その地域のすべての病院が非営利の所有形態から営利目的の所有形態に変更した 33 地域の支出額は,地域の全病院が非営利の所有形態のままであった 2, 860 地域と比較して,急増していた($ 1,295 対 $ 866,p=0.03).

結 論

1 人当りのメディケア支出額とその支出額の増加のどちらもが,非営利の所有形態の病院によって医療サービスが提供されている地域よりも,営利目的の所有形態の病院によって医療サービスが提供されている地域で大きかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 420 - 6. )