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August 19, 1999 Vol. 341 No. 8

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ナイジェリアの小児における栄養性くる病に関するカルシウム,ビタミン D,またはその両者の比較
A Comparison of Calcium, Vitamin D, or Both for Nutritional Rickets in Nigerian Children

T.D. THACHER AND OTHERS

背景

栄養性くる病は,熱帯地方の多くの国々では,十分な日光照射があるにもかかわらず蔓延したままである.乳幼児以降のくる病では,多くの場合は,食事からのビタミン D よりもむしろカルシウムの供給不足が原因であると想定している研究者もいる.

方 法

ナイジェリアのくる病の小児 123 例(年齢の中央値,46 ヵ月)を,ビタミン D(試験開始時および 12 週目に 600,000 U の筋注),カルシウム(1,000 mg の連日投与),またはビタミン D とカルシウムの併用治療による 24 週間の無作為二重盲検比較試験に組み入れた.これらの小児の試験開始時のカルシウム摂取量を,性別,年齢,および体重をマッチさせたくる病ではない対照小児の摂取量と比較した.血清中のカルシウムおよびアルカリホスファターゼを測定するとともに,X 線写真の 10 ポイントスコアを用いて 24 週目時点の治療に対する反応を評価した.

結 果

食餌性の 1 日当りカルシウム摂取量は,くる病の小児および対照小児とも少なかった(中央値,それぞれの小児で 203 mg と 196 mg;p=0.64).治療によるカルシウムの平均(±SD)血清中濃度の上昇は,ビタミン D 群(試験開始時が 7.8±0.8 mg/dL [2.0±0.2 mmol/L] であったのが,24 週目には 8.3±0.7 mg/dL [2.1±0.2 mmol/L] に上昇)が,カルシウム群(7.5±0.8 mg/dL [1.9±0.2 mmol/L] から9.0±0.6 mg/dL [2.2±0.2 mmol/L] に上昇,p<0.001)や併用療法群(7.7±1.0 mg/dL [1.9±0.25 mmol/L] から 9.1±0.6 mg/dL [2.3±0.2 mmol/L] に上昇,p<0.001)よりも小さかった.アルカリホスファターゼの血清中濃度が 350 U/L 以下および X 線写真で確認されたくる病のほぼ完全治癒という複合エンドポイントに到達した小児の割合は,カルシウム群および併用療法群が,ビタミン D 群よりも大きかった(各群のそれぞれで 61%,58%,19%;p<0.001).

結 論

ナイジェリアのくる病の小児は,カルシウムの摂取量が少なく,ビタミン D の単剤治療よりも,カルシウムの単剤治療またはカルシウムとビタミン D の併用治療によく反応する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 563 - 8. )