The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

May 4, 2000 Vol. 342 No. 18

ウイルス性腎症の同種腎臓移植片レシピエントの同定を目的とした血漿中の BK 型ポリオーマウイルスDNA の検査
Testing for Polyomavirus Type BK DNA in Plasma to Identify Renal - Allograft Recipients with Viral Nephropathy

V. NICKELEIT AND OTHERS

背景

 ポリオーマウイルスの BK 型(BK ウイルス)の再活性化は,同種腎臓移植片が重症の機能不全に陥る原因の一つとして,ますます認識されるようになってきている.現在は,BK ウイルス感染症による腎症の恐れのある患者は,尿中にウイルス封入体を含んだ細胞(“おとり細胞”)が存在すること,あるいは同種移植片組織の生検によって鑑別されている.

方 法

 後ろ向き分析にて,BK ウイルス腎症の同種腎臓移植片レシピエントの 9 例; 腎症の徴候がまったく現れていなかった同種腎臓移植片レシピエントの 41 例,このうちの 16 例は尿中におとり細胞が検出されていた; および免疫低下対照として,ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染症で(米国疾病管理予防センター: the Centers for Disease Control and Prevention の病期分類で C3 期),移植を受けたことのない患者17 例,これらの症例から採取した血漿検体中に BK ウイルスの DNA が存在するかどうかを調べるために,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を実施した.

結 果

 BK ウイルス腎症の患者については,9 例のすべての患者が,最初の組織学的診断の時点で(移植からの平均[± SD ]期間で 46 ± 28 週目),BK ウイルスの DNA が血漿中に検出され,経時的に実施されていた組織学的診断の時点でも,BK ウイルス疾患が持続していた.これらの患者のうち,移植後経時的な検討を行った患者の 6 例中 3 例は,最初は,BK ウイルスの DNA は検出されなかったが,腎症が臨床的に明らかになって生検で確認される 16 ~ 33 週前には検出されるようになっていた.2 例の患者は免疫抑制剤の減量後に,また 3 例の患者は同種腎臓移植片の摘出後に,血漿中の BK ウイルス DNA の検査が陰性になり,腎症も消退した.腎症の徴候がまったく現れていなかった同種腎臓移植片レシピエントの 41 例については,2 例の血漿に BK ウイルスの DNA が検出されただけであり,HIV-1 感染症の患者については,BK ウイルスの DNA が血漿中に検出された患者は 1 例もいなかった.

結 論

 同種腎臓移植片レシピエントから採取した血漿中に BK ウイルス DNA が存在するかどうかを,ポリメラーゼ連鎖反応を用いて調べる検査は,ウイルス性腎症の鑑別法として,感度が高く,しかも特異的な検査法の一つである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1309 - 15. )