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May 4, 2000 Vol. 342 No. 18

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経皮的冠動脈血行再建術後の血小板膜糖蛋白受容体拮抗薬による長期治療
Long-Term Treatment with a Platelet Glycoprotein-Receptor Antagonist after Percutaneous Coronary Revascularization

W.W. O'NEILL AND OTHERS

背景

血小板膜糖蛋白 IIb/IIIa(GP IIb/IIIa)受容体拮抗薬は,経皮的冠動脈血行再建術の術中に静脈内投与すると,死亡および非致死的心筋梗塞の発生と,緊急の血行再建の必要性を減少させる.そこで,われわれは,血小板の凝集を防ぐ血小板膜糖蛋白 IIb/IIIa 拮抗薬の長期経口投与が,血管内腔のプラークを安定化させて,虚血性心イベントの続発を予防するかもしれないという仮説をたてた.

方 法

前向き二重盲検試験を実施し,7,232 例の患者を,経皮的冠動脈血行再建術を受ける 30~90 分前にゼミロフィバン(xemilofiban)の 20 mg またはプラセボを経口投与し,その後 182 日間にわたる,ゼミロフィバンの 10 mg または 20 mg の維持用量またはプラセボの 1 日 3 回投与に無作為に割り付けた.本試験では,主要複合エンドポイントを二つ設定した:その一つは,182 日目までの死亡,非致死的心筋梗塞,または緊急の血行再建で,もう一つは 182 日目までの死亡または非致死的心筋梗塞であった.

結 果

182 日目までの死亡,心筋梗塞,または緊急血行再建法は,プラセボの投与を受けた患者の 324 例(Kaplan–Meier 法による累積イベント発生率,13.5%),ゼミロフィバンの 10 mg の投与を受けた患者の 332 例(13.9%,プラセボとの比較で p=0.82),およびゼミロフィバンの 20 mg の投与を受けた患者の 306 例(12.7%,プラセボとの比較で p=0.36)に発生した.また,死亡または心筋梗塞の発生も,3 群とも同程度であった.臨床的に重要な出血性合併症,および血小板減少症の発現頻度は低かった.

結 論

血小板膜糖蛋白 IIb/IIIa 拮抗薬であるゼミロフィバンの経皮的冠動脈血行再建術の術前およびその後 6 ヵ月間にわたる投与は,臨床的に重要なエンドポイントの発生を有意には減少させない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1316 - 24. )