The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 22, 2000 Vol. 342 No. 25

原発性肺高血圧症に対するプロスタサイクリン類似化合物であるイロプロスト噴霧剤による長期治療
Long-Term Treatment of Primary Pulmonary Hypertension with Aerosolized Iloprost, a Prostacyclin Analogue

M.M. HOEPER AND OTHERS

背景

 エポプロステノール(プロスタサイクリン)の持続静注は,原発性肺高血圧症の有効な治療の一つである.しかしながら,この治療法には,中心静脈カテーテルを恒久的に留置しておく必要であり,これには重篤な合併症を発症させる危険性が伴う.最近,重症肺高血圧症の代替療法として,安定なプロスタサイクリン類似化合物の一つであるイロプロスト(Iloprost)噴霧剤が導入された.

方 法

 原発性肺高血圧症の患者を対象として,運動能力および血行動態変数に対するイロプロスト噴霧剤の効果を 1 年間にわたって評価した.

結 果

 原発性肺高血圧症の 24 例の患者に,イロプロスト噴霧剤を,1 日用量を 100 または 150 m g として,少なくとも 1 年間のあいだ投与した.6 分間の歩行試験での平均(± SD)歩行距離は,試験開始時には 278 ± 96 m であったのが,試験開始から 12 ヵ月後には 363 ± 135 m に延長した(p < 0.001).これと同期間に,イロプロスト吸入前の平均肺動脈圧は 59 ± 10 mmHg から 52 ± 15 mmHg に下降し(p = 0.006),心拍出量は 3.8 ± 1.4 L / 分から 4.4 ± 1.3 L / 分に増加し(p = 0.02),肺血管抵抗は 1,205 ± 467 dyn 秒 / cm5 から 925 ± 469 dyn 秒 / cm5 に減少した(p < 0.001).また,この治療は,全般的には十分に耐容できたが,一部の患者には軽度の咳嗽,稀な頭痛,および顎痛が発現した.

結 論

 原発性肺高血圧症の患者におけるイロプロスト噴霧剤による長期治療は,安全で,運動能力および肺血行動態に対して持続した効果が得られる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1866 - 70. )