The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

February 17, 2000 Vol. 342 No. 7

重症振戦の抑制に対する持続的視床刺激と視床破壊術の比較
A Comparison of Continuous Thalamic Stimulation and Thalamotomy for Suppression of Sever Tremor

P.R. SCHUURMAN AND OTHERS

背景

 視床に植込んだ電極からの脳深部刺激は,薬剤抵抗性振戦の治療における視床破壊術の代替治療法の一つとして開発された.この刺激は視床破壊術と同程度の有効性があり,合併症がより少ないと考えられている.今回,われわれは,これらの二つの手技について,パーキンソン病,本態性振戦,あるいは多発性硬化症による薬剤抵抗性振戦の患者の機能的能力に対する効果を検討した.

方 法

 68 例の患者(パーキンソン病 45 例,本態性振戦 13 例,多発性硬化症 10 例)を,視床破壊術または視床刺激に無作為に割り付けた.治療転帰の主要評価尺度は,術後 6 ヵ月目にフレンシャイ活動指数(the Frenchay Activities Index)を用いて測定した機能的能力の変化とした.この指数のスコアは 0 ~ 60 までの値をとることができ,スコアが高いほど機能が良好であることを示す.転帰の副次的評価尺度は,振戦の重症度,有害事象の発現件数,および患者による転帰の評価とした.

結 果

 フレンシャイ活動指数のスコアの上昇によって評価した機能状態の改善は,視床刺激群が視床破壊術群よりも大きかった(それぞれ,31.4 から 36.3 への上昇,32.0 から 32.5 への上昇; 群間差,4.4 ポイント; 95%信頼区間,2.0 ~ 6.9).多変量解析でも,試験開始時の患者特性で補正すると,視床刺激群の改善が大きいことが示された(群間差,5.1 ポイント; 95%信頼区間,2.3 ~ 7.9).振戦が完全あるいはほぼ完全に抑制された患者は,視床破壊術群では 34 例中の 27 例,視床刺激群では 33例中の 30 例であった.視床刺激群では,患者の 1 例が脳内出血後の周術期に死亡した.この例を除くと,視床刺激では,視床破壊術よりも有害事象が有意に少なかった.患者による機能状態の評価では,視床破壊術群では 8 例の患者から改善が報告されただけであったのに対して,視床刺激群では 18 例の患者から改善が報告された(p = 0.01).

結 論

 視床刺激と視床破壊術は,薬剤抵抗性振戦の抑制に対する効果は同程度であるが,視床刺激のほうが有害事象の発現が少なく,機能の改善も大きいという結果が得られる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 461 - 8. )