The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

March 2, 2000 Vol. 342 No. 9

モノクローナル抗体を用いたインターロイキン 2 受容体の遮断による心臓移植の拒絶反応の予防
Prevention of Rejection in Cardiac Transplantation by Blockade of the Interleutin-2 Receptor with a Monoclonal Antibody

A. BENIAMINOVITZ AND OTHERS

背景

 同種抗原で活性化された T 細胞は,高親和性インターロイキン 2(IL-2)受容体を発現する.この受容体をヒト IgG1 モノクローナル抗体のダクリズマブ(Daclizumab)で特異的に遮断すると,非免疫全般の抑制を導入しなくとも,心臓移植後の同種移植片の拒絶反応を予防できるかもしれない.

方 法

 心臓移植をはじめて受ける非感作の患者 55 例を,ダクリズマブ(体重当り1.0 mg / kg)の心臓移植後 24 時間以内,その後 2 週間ごとの合計 5 回の静脈内投与による導入療法,または全般的免疫抑制療法に無作為に割り付けた.今回の併用免疫抑制療法では,どちらの群にも,シクロスポリン,ミコフェノール酸モフェチル,およびプレドニゾロンの投与を行った.主要エンドポイントは,急性拒絶反応の発現および重症度と,生検で確認された拒絶反応の初回エピソードの発現までの期間とした.

結 果

 本試験に組み入れられた 55 例の患者のうち,28 例がダクリズマブの投与に無作為に割り付けられ,残りの 27 例は対照群であった.導入療法の期間中に発現した急性拒絶反応のエピソード(国際心肺移植学会(the International Society of Heart and Lung Transplants)の分類で組織学的グレードが 2 以上と定義した)の平均頻度は,対照群では患者当り 0.64 件,ダクリズマブ群では患者当り 0.19 件であった(p = 0.02).急性拒絶反応は,対照群では 27 例の患者のうちの 17 例に発現したのに対して(63%),ダクリズマブ群では,28 例の患者のうちの 5 例に発現しただけであった(18%; 相対危険度,2.8; 95%信頼区間,1.1 ~ 7.4; p = 0.04).追跡全期間中に組織学的グレード 3 の急性拒絶反応が発現した患者は,対照群では 9 例であったのに対して,ダクリズマブ群では 2 例であった(p = 0.03).また,拒絶反応の初回エピソードが発現するまでの期間もダクリズマブ群で有意に長かった(p = 0.04).ダクリズマブによる有害反応はまったく発現せず,追跡期間中の感染症や癌の発症率にも 2 群間に有意な差は認められなかった.

結 論

 ダクリズマブによる導入療法は,その導入期間において,心臓の同種移植片の拒絶反応の発現頻度および重症度を,安全性には問題なく低下させることができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 613 - 9. )