January 13, 2000 Vol. 342 No. 2
重症憩室出血の診断および治療のための緊急大腸内視鏡
Urgent Colonoscopy for the Diagnosis and Treatment of Severe Diverticular Hemorrhage
D.M. JENSEN, G.A. MACHICADO, R. JUTABHA, AND T.O.G. KOVACS
内視鏡検査は急性の上部消化管出血の診断および治療にしばしば使用されているが,憩室症および下部消化管出血の管理においては,その役割は明らかにされていない.
重症の血便および憩室症の患者 121 例の診断と治療において,緊急大腸内視鏡検査の役割について検討した.これらすべての患者を入院させて,必要に応じて輸血を実施するとともに,血餅,便,および血液を結腸から取り除くための下剤の投与も行った.大腸内視鏡は,入院または血便の診断後 6~12 時間以内に実施した.最初の 73 例のうち,憩室出血が続いている患者には結腸半切除術を行った.74 例目以降の 48 例については,治療が必要であった患者には,エピネフリン注入やバイポーラー凝固などの治療を大腸内視鏡下に行った.
73 例目までについては,17 例(23%)に憩室出血の明らかな徴候が認められた(6 例に活動性の出血,4 例に非出血性血管の可視化,7 例に血餅の付着).この 17 例中 9 例には,大腸内視鏡検査後にさらに出血が起り,うち 6 例は結腸半切除術を必要とした.74 例目以降の 48 例については,10 例(21%)に憩室出血の明らかな徴候が認められた(5 例に活動性の出血,2 例に非出血性血管の露出,3 例に血餅の付着).14 例(29%)には憩室出血の徴候は認められなかったものの,他の出血源が特定できなかったため,憩室出血が疑われた.残りの 24 例(50%)には,憩室出血以外の出血源が特定された.明らかな憩室出血が認められた 10 例すべてに内視鏡的治療を行った.この 10 例に,出血が再発した患者や,手術を必要とした患者はいなかった.
重症の血便および憩室症の患者については,少なくともその 1/5 が明らかな憩室出血である.このような患者に対しては,エピネフリン注入またはバイポーラー凝固,あるいはその両方を行う大腸内視鏡的治療が,出血の再発を予防するとともに,手術の必要性を減少させるかもしれない.