January 13, 2000 Vol. 342 No. 2
鎌状赤血球症の小児における有害転帰の予測
Prediction of Adverse Outcomes in Children with Sickle Cell Disease
S.T. MILLER AND OTHERS
後になって重症の合併症が生じる可能性がある鎌状赤血球貧血の幼児を識別することができると,予後の正確な予測および疾患に関連するリスクに応じた治療法の実施を可能にして,臨床試験の計画が容易になるものと考えられる.そこで,われわれは,392 例の鎌状赤血球症小児の臨床経過を乳幼児期から 10 歳頃までにわたって追跡調査することによって,このような乳児の特徴を定義することを試みた.
生後 6 ヵ月になるまでにホモ接合型の鎌状赤血球貧血または鎌状赤血球–β0 サラセミアと診断され,総合的な臨床および検査データが前向きに記録された 392 例の乳幼児の医療記録を分析した;これらのデータについては,平均(±SD)で 10.0±4.8 年間のデータを入手することができた.2 歳になるまでに得られた結果によってその後の転帰が予測できるかどうかを調べるために,これらの結果についての評価を行った.
このコホートに含まれる 392 例の乳幼児のうちの 70 例(18%)に,死亡(18 例 [26%]),脳卒中(25 例 [36%]),頻発性の疼痛(17 例[24%]),あるいは再発性の急性胸部症候群(10 例 [14%])として定義していた有害転帰が,後になって発現した.多変量解析の結果,この有害転帰の統計的に有意な三つの予測因子が明らかになった:その予測因子とは,生後 1 年未満における指炎(手または足の疼痛および圧痛)のエピソード(有害転帰の相対危険度,2.55;95%信頼区間,1.39~4.67),血色素の値が 7 g/dL 未満(相対危険度,2.47;95%信頼区間,1.14~5.33),および感染の認められない白血球増加症(相対危険度,1.80;95%信頼区間,1.05~3.09)であった.
2 歳までに発現する可能性があり,容易に識別できる鎌状赤血球症の三つの特徴の顕在化(指炎,高度の貧血,および白血球増加症)は,後に重症の鎌状赤血球症が発症する可能性についての予測に役立てることができる.