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October 12, 2000 Vol. 343 No. 15

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視覚障害者のフリーランする概日リズムのメラトニンによる同調
Entrainment of Free-Running Circadian Rhythms by Melatonin in Blind People

R.L. SACK, R.W. BRANDES, A.R. KENDALL, AND A.J. LEWY

背景

全盲の人の大部分は,「フリーラン」する(すなわち,時刻を認識させる環境要因に同調することなく,24 時間よりもわずかに長い周期で変動する)概日リズムをもっている.この状態では,リズムが正常な 24 時間周期の相からずれると,不眠と日中の眠気が繰り返し起こるようになる.今回,われわれは,全盲の人の概日リズムを,メラトニンを 1 日 1 回服用することで正常な 24 時間周期に同調させられるかどうかを検討した.

方 法

クロスオーバー試験に,フリーランする概日リズムをもつ全盲の被験者 7 例を組み入れた.被験者には,メラトニン 1 日 10 mg またはプラセボを,就寝希望時刻の 1 時間前に服薬するという治療を 3~9 週間行い,次にもう一方の治療を行った.概日時間の指標として,内因性メラトニンの産生時期を測定した.また,睡眠ポリグラフィで睡眠を観察した.

結 果

試験開始時に,7 例の被験者は,平均 24.5 時間(範囲,24.2~24.9 時間)の,明確で予測可能な周期を示す,フリーランする概日リズムをもっていた.これらのリズムは,プラセボの投与では影響を受けなかった.メラトニンの投与中には,7 例中 6 例で,このリズムが 24.0 時間の周期に同調された(p<0.001).同調後は,最初の入眠後の覚醒時間が少なくなり(p = 0.05),睡眠の効率も高くなった(p = 0.06).3 例は,続いて次の試験に参加した.その試験では,リズムが同調するまでメラトニン 1 日 10 mg を服用し,同調が得られた後は,3 ヵ月かけて 1 日 0.5 mg まで減量した;得られた同調は,最低用量まで減量しても維持されていた.

結 論

フリーランする概日リズムをもつ視覚障害者の大部分が,メラトニンの投与によって,その概日リズムを同調させることができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1070 - 7. )