The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 30, 2000 Vol. 343 No. 22

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

結腸直腸癌の発生に対する便潜血スクリーニングの効果
The Effect of Fecal Occult-Blood Screening on the Incidence of Colorectal Cancer

J.S. MANDEL AND OTHERS

背景

1 年に 1 回の便潜血検査も 2 年に 1 回の便潜血検査も,結腸直腸癌による死亡を有意に減少させる.しかし,スクリーニングを受けている多くの人々において前癌病変の診断および切除が行われているにもかかわらず,結腸直腸癌の発生に対する便潜血スクリーニングの効果についてはいまだ明らかでない.

方 法

ミネソタ結腸癌対照試験(Minnesota Colon Cancer Control Study)の参加者を対象にして,18 年間の追跡調査を行った.1975~78 年の期間に,大部分が 50~80 歳の 46,551 例が研究に組み入れられ,1 年ごとのスクリーニング,2 年ごとのスクリーニング,または通常の健康管理(対照群)に無作為に割り付けられた.スクリーニング群に割り付けられた人々には,グアヤック法を行うための検体として,3 回連続して便を採取し,採取したそれぞれの便から各二つの検体を提出するように依頼した.提出された六つの検体のうちに潜血陽性スライドが一つでもあった人には,結腸内視鏡検査を含む確定診断のための検査を受けるように勧めた.このスクリーニングは,1976~82 年の期間に実施され,1986~92 年の期間にも再度実施された.試験の参加者に対する追跡調査は,結腸直腸癌の新たな診断と死亡について行った.参加者の 90%超が追跡調査研究を完了している.

結 果

18 年間の追跡調査期間中に,結腸直腸癌の新患は 1,359 例同定された; その内訳は,1 年ごとのスクリーニング群が 417 例,2 年ごとのスクリーニング群が 435 例,対照群が 507 例であった.対照群に対するスクリーニング群の直腸結腸癌の累積発生率比は,1 年ごとのスクリーニング群が 0.80(95%信頼区間,0.70~0.90),2 年ごとのスクリーニング群が 0.83(95%信頼区間,0.73~0.94)であった.どちらのスクリーニング群においても,潜血陽性スライドの枚数には,結腸直腸癌および直径 1 cm 以上の腺腫ポリープの陽性適中度との関連が認められた.

結 論

便潜血検査を 1 年に 1 回あるいは 2 年に 1 回実施することによって,結腸直腸癌の発生を有意に減少させることができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1603 - 7. )