December 21, 2000 Vol. 343 No. 25
エフェドラアルカロイド類を含有した補助栄養食品に関連した心血管系および中枢神経系の有害事象
Adverse Cardiovascular and Central Nervous System Events Associated with Dietary Supplements Containing Ephedra Alkaloids
C.A. HALLER AND N.L. BENOWITZ
エフェドラアルカロイド類(ときに麻黄 [マオウ] とも呼ばれている)を含有した補助栄養食品は,米国では,減量およびエネルギー増進の手段と宣伝され,広く使用されている.最近,これらの補助栄養食品の使用に関連した有害事象が報告されていることを考慮して,米国食品医薬品局(FDA)は,この栄養補助食品の使用量と使用期間に制限を設けることを提案している.さらに,FDA は,この因果関係を評価し,これらの補助栄養食品の使用によって消費者にもたらされるリスクの程度を推定するために,エフェドラアルカロイド類を含有した栄養補助食品の使用に関連した有害事象の報告を独立的な立場から再評価することを要求した.
今回,われわれは,エフェドラアルカロイド類を含有した補助栄養食品の使用に関連した有害事象の報告のうち,1997 年 6 月 1 日から 1999 年 3 月 31 日までの期間に FDA に提出された 140 件の報告について再評価を行った.因果関係については,標準化された体系的な評価法を用いて有害事象をそれぞれ評価した.
報告された有害事象の 31%が,エフェドラアルカロイド類を含有した補助栄養食品の使用に明らかな関連がある,あるいはおそらく関連があると判断され,31%が関連の可能性があると考えられた.エフェドラアルカロイド類を含有した補助栄養食品の使用に明らかな関連がある,おそらく関連がある,あるいは関連の可能性があると考えられた有害事象のうち,47%が心血管系の症状,18%が中枢神経系に分類されるものであった.高血圧症は,単独で発現頻度がもっとも高い有害事象であった(17 報告).これに続いて,動悸,頻拍,あるいは動悸と頻拍の併発(13 報告),脳卒中(10 報告),および痙攣(7 報告)が多かった.また,死亡に至った有害事象は 10 件,永久的な障害が残った有害事象は 13 件であった.そして,これらの有害事象は,明らかな関連がある,おそらく関連がある,および関連の可能性があると判定された有害事象の 26%にのぼっていた.
エフェドラアルカロイド類を含有した補助栄養食品の使用は,一部の人に対して健康上のリスクをもたらす可能性がある.ここで得られた結果は,このような補助栄養食品の有害作用に対する感受性を,個別にさらに詳しく把握する必要性があることを示している.