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August 17, 2000 Vol. 343 No. 7

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血漿中第 VIII 因子の高濃度と再発性静脈血栓塞栓症のリスク
High Plasma Levels of Factor VIII and the Risk of Recurrent Venous Thromboembolism

P.A. KYRLE AND OTHERS

背景

血漿中血液凝固因子第 VIII 因子の高濃度は,静脈血栓塞栓症の危険因子の一つになっている.われわれは,血漿中の第 VIII 因子の濃度が高値であった患者において,特発性静脈血栓塞栓症の初回エピソード後に血栓症が再発するリスクの評価を行った.

方 法

360 例の患者に対して,静脈血栓塞栓症の初回エピソード後に実施した経口抗凝固薬の治療が終了してから,平均で 30 ヵ月間の追跡調査による検討を実施した.再発性または二次性の静脈血栓塞栓症,先天性の抗凝固物質欠損症,ループス抗凝固物質,高ホモシステイン血症,癌,あるいは血栓溶解薬の長期治療が必要な患者,または妊娠中の患者は除外した.エンドポイントは,客観的評価による症候性静脈血栓塞栓症の再発とした.

結 果

静脈血栓塞栓症の再発は 360 例の患者のうちの 38 例に確認された(10.6%).再発患者の血漿中第 VIII 因子の平均(±SD)濃度は,非再発患者の濃度よりも高かった(182±66 対 157±54 IU/dL,p=0.009).再発性静脈血栓塞栓症の相対危険度は,血漿中第 VIII 因子の濃度が 10 IU/dL 上昇当り 1.08 倍であった(95%信頼区間,1.04~1.12;p<0.001).血漿中の第 VIII 因子濃度が今回の研究集団で 90%ポイントを超えていた患者では,2 年目までに再発する確率は 37%であったのに対して,90%ポイント以下であった患者の再発の確率は 5%であった(p<0.001).さらに,血漿中の第 VIII 因子濃度が 90%ポイントを超える患者では,90%ポイント以下の患者に対する全体の再発相対危険度が,年齢,性別,第 V 因子の Leiden 突然変異あるいはプロトロンビン遺伝子の G20210A 突然変異の有無,および経口抗凝固療法の実施期間で補正すると,6.7(95%信頼区間,3.0~14.8)になった.

結 論

血漿中の第 VIII 因子濃度が高値の患者は,再発性静脈血栓塞栓症のリスクが高い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 457 - 62. )