The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

July 6, 2000 Vol. 343 No. 1

女性と男性における急性心筋梗塞の治療と30 日目までの死亡
Treatment of Acute Myocardial Infarction and 30-day Mortality among Women and Men

S.C. GAN AND OTHERS

背景

 先行研究において,急性心筋梗塞の女性は,男性ほど積極的な治療を受けていないということが示唆されている.そこで,われわれは,共同心血管プロジェクト(the Cooperative Cardiovascular Project)のデータを利用して,急性心筋梗塞後の治療に理想的な候補患者であった女性と男性に対する治療が,異なったものであったかどうかについて調べた.

方 法

 本研究に必要な情報は,1994 年あるいは 1995 年に急性心筋梗塞を発症した138,956 例のメディケア(老齢者医療保障制度)受給者(このうちの 49%は女性)の医療記録から抜粋した.投与された薬剤,行われた手技,回復の見込みがない状態という判断,および 30 日目までの死亡における男女間の差を,多変量解析を用いて評価した.

結 果

 治療候補として理想的な患者では,女性は,すべての年齢群において,男性よりも診断を目的としたカテーテル法を受ける可能性が低かった.この差は高齢の女性でとくに顕著であった; 85 歳以上の女性では,その補正相対危険度は 0.75(95%信頼区間,0.68 ~ 0.83)であった.また,女性は,男性よりも,病院に到着後 60 分以内に血栓溶解療法を受ける可能性が低く(補正相対危険度,0.93; 95%信頼区間,0.90 ~ 0.96),あるいは到着後 24 時間以内にアスピリンの投与を受ける可能性が多少低かった(補正相対危険度,0.96; 95%信頼区間,0.95 ~ 0.97)が,b 遮断薬の投与を受ける可能性(補正相対危険度,0.99; 95%信頼区間,0.95 ~ 1.03)は等しく,アンジオテンシン変換酵素阻害薬の投与を受ける可能性(補正相対危険度,1.05; 95%信頼区間,1.02 ~ 1.08)は多少高かった.さらに,医療記録に回復の見込みがないと記載される可能性は,女性のほうが男性よりも高かった(補正相対危険度,1.26; 95%信頼区間,1.22 ~ 1.29).女性と男性の 30 日死亡率は,補正後には同程度の値になった(ハザード比,1.02; 95%信頼区間,0.99 ~ 1.04).

結 論

 急性心筋梗塞の初期管理において,女性は,男性よりも多少非積極的な治療を受けている.しかしながら,ここで認められた差の多くは小さなものであり,早期死亡に対する明らかな影響は何も認められない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 8 - 15. )