The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

September 21, 2000 Vol. 343 No. 12

ニトロ系血管拡張薬,低用量アスピリン,およびその他の非ステロイド系抗炎症薬と上部胃腸管出血のリスク
Nitrovasodilators, Low - Dose Aspirin, Other Nonsteroidal Antiinflammatory Drugs, and the Risk of Upper Gastrointestinal Bleeding

A. LANAS AND OTHERS

背景

 ニトログリセリンおよび他のニトロ系血管拡張薬のような一酸化窒素を放出する薬物と,上部消化管出血との関係は確かめられていない.動物では,これらの薬物は非ステロイド系抗炎症薬によって誘発される胃障害を軽減させている.しかし,一酸化窒素は血小板凝集を阻害するので,潰瘍からの出血に寄与している可能性も考えられる.

方 法

 ニトロ系血管拡張薬,低用量アスピリン,あるいはその他の非ステロイド系抗炎症薬を服薬している患者における出血のリスクを調べるために,症例対照研究を実施した.症例群の対象者は,消化性病変からの出血のために,本研究に参加した四つの病院のいずれかに連続して入院した 1,122 例の患者であった.2,231 例の対照者は,他の理由で入院していた 1,109 例の患者と,同一地域の外来患者 1,122 例であった.

結 果

 出血患者が入院する前の週に服薬していた薬剤は,低用量アスピリン以外の非ステロイド系抗炎症薬が 520 例(46.3%),低用量アスピリン(≦ 300 mg /日)が 120 例(10.7%),ニトロ系血管拡張薬が 60 例(5.3%),H2 受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬のような分泌抑制作用薬が 135 例(12.0%)であった.年齢,性別,および臨床危険因子で補正した多変量モデルでは,低用量アスピリン以外の非ステロイド系抗炎症薬の使用は(オッズ比,7.4; 95%信頼区間,4.5 ~ 12.0),低用量アスピリンの単剤使用と同様に(オッズ比,2.4; 95%信頼区間,1.8 ~ 3.3),消化性潰瘍からの出血のリスク上昇との独立した関連が認められた.ニトロ系血管拡張薬の使用は(オッズ比,0.6; 95%信頼区間,0.4 ~ 0.9),分泌抑制薬と同様(オッズ比,0.6; 95%信頼区間,0.4 ~ 0.8),出血のリスクの低下との関連が認められた.また,どんな種類の非ステロイド系抗炎症薬を服薬していた患者でも,ニトロ系血管拡張薬や分泌抑制薬の治療は,出血のリスクの低下との独立した関連が認められた.

結 論

 ニトロ系血管拡張薬の使用は,他の要因には関係なく上部消化管出血のリスクの低下に関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 834 - 9. )