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March 15, 2001 Vol. 344 No. 11

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小児におけるラクロス脳炎
La Crosse Encephalitis in Children

J.E. MCJUNKIN AND OTHERS

背景

ラクロス脳炎は,蚊によって媒介される疾患で,単純ヘルペス脳炎と間違われることがある.このラクロス脳炎は米国の 28 州で報告されているが,その認識は低い可能性がある.

方 法

1987~96 年の期間に入院していた 127 例の患者の臨床症状と臨床経過について調査した.ラクロス脳炎の診断は,ラクロスウイルスに対する IgM 抗体と IgG 抗体の血清学的検査によって確定されていた.データは,病歴の調査によって収集した.

結 果

患者のほとんどが学童期の小児であった(平均 [±SD] 年齢,7.8±3.5 歳;範囲,0.5~15.0 歳).症状は,頭痛,発熱,および嘔吐(いずれの症状も 70%以上の患児に発現),痙攣(46%),見当識障害(42%)などがあった.患児の 13%は無菌性髄膜炎があった.21%は低ナトリウム血症があり,13%は頭蓋内圧亢進を示すような徴候が認められた.脳ヘルニアがあった 3 例を含む 6 例の患児には,頭蓋内圧の監視が行われた.入院中に病状が悪化した 13 例(11%)の患児は,その悪化時に,血清ナトリウム濃度が低下するとともに(p = 0.007),体温も上昇した(p = 0.003).これらの患児は,他の患児と比較すると,入院時,嘔吐の既往が多く(p = 0.047),グラスゴー昏睡尺度(GCS)のスコアも 12 点未満と低く(p = 0.02),入院時における痙攣の有病率が高いという傾向も認められた(p = 0.07).すべての患児が生存していたが,15 例(12%)は退院時に神経学的欠損が残っていた.28 例に行った追跡評価からは,脳炎のエピソード発現後 10~18 ヵ月目に,認知欠損および行動欠損が増悪することが示唆された.

結 論

無菌性髄膜炎や脳炎の小児には,ラクロスウイルス感染症の可能性を考慮すべきである.低ナトリウム血症と体温の上昇は,臨床症状の悪化に結びつくことがある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 801 - 7. )