March 29, 2001 Vol. 344 No. 13
インターフェロン α の高用量投与によって誘発されるうつ病予防のためのパロキセチン
Paroxetine for the Prevention of Depression Induced by High-Dose Interferon Alfa
D.L. MUSSELMAN AND OTHERS
うつ病は,サイトカインであるインターフェロン(IFN)α-2b の治療によくみられる合併症である.抗うつ薬を前投与した実験動物では,サイトカインの投与後にみられるうつ病様症状が軽い.われわれは,同様の治療戦略がヒトにおいても有効であるかどうかを確定する試みを行った.
インターフェロンαの高用量療法に適格であった悪性黒色腫の患者 40 例を対象とした二重盲検試験において,これらの患者の 20 例を抗うつ薬のパロキセチンの投与に,残りの 20 例をプラセボの投与に無作為に割付けた.これらの治療は,インターフェロンαの治療を開始する 2 週間前に開始し,インターフェロンαの治療の 12 週目が終了するまで継続した.
インターフェロンαの治療の 12 週目までに大うつ病の診断と一致する症状が発現した患者は,パロキセチン群の 18 例中 2 例(11%)と,プラセボ群の 20 例中 9 例(45%)であった(相対リスク,0.24;95%信頼区間,0.08~0.93).重症のうつ病によってインターフェロンαの治療を 12 週目より前に中止する必要が生じた患者は,パロキセチン群では 20 例中 1 例(5%)であったのに対し,プラセボ群では 20 例中 7 例(35%)であった(相対リスク,0.14;95%信頼区間,0.05~0.85).有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.
悪性黒色腫の患者に対しては,パロキセチンの前治療が,インターフェロンαによって誘発されるうつ病を最小限に抑えるための一つの有効な治療戦略であると思われる.