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October 11, 2001 Vol. 345 No. 15

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肺容量減少手術後に死亡のリスクが高い患者
Patients at High Risk of Death after Lung-Volume-Reduction Surgery

NATIONAL EMPHYSEMA TREATMENT TRIAL RESEARCH GROUP

背景

肺容量減少手術は肺気腫のために提案された治療法の 1 つであるが,その最適な選択基準は定義されていない.全米肺気腫治療試験(NETT)は,肺容量減少手術と内科的治療とを比較する無作為多施設共同臨床試験である.

方 法

評価と肺リハビリテーションを実施してから,患者を,肺容量減少手術の施行または内科的治療の実施に無作為に割付けた.転帰は,効果・安全性モニタリング委員会によって監視された.

結 果

2001 年の 6 月までに,1,033 例が無作為化された.1 秒量(FEV1)が予測値の 20%以下であり,コンピュータ断層撮影法によって肺気腫の均質な分布像が認められたか,一酸化炭素肺拡散能が予測値の 20%以下であった 69 例では,術後 30 日死亡率が 16%(95%信頼区間,8.2~26.7%)であった.これに対して,内科的に治療を受けた 70 例の死亡率は 0%であった(p<0.001).これらの高リスク患者における全死亡率は,手術患者のほうが内科的治療患者よりも高かった(人年当り 0.43 例 対 0.11 例:相対リスク,3.9;95%信頼区間,1.9~9.0).内科的に治療を受けた患者と比較して,手術の生存者は,6 ヵ月目の時点において,最大運動負荷量(p=0.06),6 分間の歩行距離(p=0.03),FEV1p<0.001)の改善が小さかったが,健康関連 QOL は同程度であった.全患者を対象とした機能転帰の解析の結果は,死亡および欠損データの説明となるものではあったが,いずれかの治療を支持するものではなかった.

結 論

FEV1 が低値で,さらに均質な肺気腫であるか,一酸化炭素肺拡散能が非常に低いかのいずれかが認められる患者は,肺容量減少手術の適用に注意を払わなければならない.これらの患者は,術後の死亡リスクが高く,この手術からの有益性も受けられそうにない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1075 - 83. )