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October 11, 2001 Vol. 345 No. 15

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頸動脈狭窄症に関連した一過性の単眼失明後の予後
Prognosis after Transient Monocular Blindness Associated with Carotid-Artery Stenosis

O. BENAVENTE AND OTHERS

背景

内頸動脈の狭窄に関連した一過性の単眼失明は,脳卒中の危険因子である.一過性の単眼失明で受診する患者における頸動脈内膜切除術の効果は,確証されていない.

方 法

一過性の単眼失明で受診する患者における脳卒中のリスクを,脳半球の一過性脳虚血発作で受診する患者におけるリスクと比較した.血管内膜切除術の効果は,一過性単眼失明の患者において評価した.解析は,北米症候性頸動脈内膜切除術試験(North American Symptomatic Carotid Endarterectomy Trial)で得られたデータに基づいて行った.

結 果

一過性単眼失明で内科的治療を受けた患者では,合計 198 例に同側脳卒中の 3 年リスクが認められ,これは脳半球の一過性脳虚血発作のため内科的治療を受けた患者 417 例の約半数であった(補正ハザード比,0.53;95%信頼区間,0.30~0.94).単眼失明の患者では,以下の 6 つの要因が脳卒中のリスクの上昇に関連していた ― 年齢が 75 歳以上,性別が男性,脳半球の一過性脳虚血発作または脳卒中の病歴,間欠跛行の病歴,血管内腔径の 80~94%の狭窄,および側副循環が存在しないこと.内科的治療に伴った脳卒中の 3 年リスクは,危険因子が 0 個または 1 個の患者で 1.8%,2 個の患者で 12.3%,3 個以上の患者で 24.2%であった(p=0.003).血管内膜切除術に関連した脳卒中の 3 年リスクの絶対低下は,危険因子が 0 個または 1 個の患者で-2.2%(すなわち,2.2%のリスクの上昇),危険因子が 2 個の患者で 4.9%,3 個以上の患者で 14.3%であった(交互作用の検定で p=0.23).

結 論

内頸動脈の狭窄に関連した一過性の単眼失明は,脳卒中の危険因子である.一過性の単眼失明で受診する患者における頸動脈内膜切除術の効果は,確証されていない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1084 - 90. )