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November 8, 2001 Vol. 345 No. 19

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重症敗血症と敗血症性ショックの治療における早期目標指向療法
Early Goal-Directed Therapy in the Treatment of Severe Sepsis and Septic Shock

E. RIVERS AND OTHERS

背景

目標指向療法は,集中治療室において重症敗血症および敗血症性ショックに対して用いられている.この治療法には,酸素供給量と酸素要求量の平衡を保持するための,心臓の前負荷,後負荷,および収縮性の調整が含まれている.この試験の目的は,集中治療室に入院させる前に実施する早期目標指向療法の有効性を評価することであった.

方 法

重症敗血症または敗血症性ショックによって,都市部の救急診療科に搬送されてきた患者を,集中治療室に入院させる前に,6 時間の早期目標指向療法または標準療法(対照として)のいずれかに無作為に割付けた.患者の治療を引き継いだ臨床医には,治療割付けは盲検にされた.院内死亡(有効性の主要転帰),救急蘇生法に関するエンドポイント,および急性生理学および長期健康評価(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation:APACHE II)スコアを,72 時間のあいだ経時的に評価し,それらを試験群間で比較した.

結 果

組み入れられた 263 例の患者のうち,130 例が早期目標指向療法に,133 例が標準療法に無作為に割付けられた;試験開始時の患者特性に関しては,群間に有意差は認められなかった.院内死亡率は,早期目標指向療法に割付けられた群で 30.5%であったのに対して,標準療法に割付けられた群では 46.5%であった(p=0.009).7~72 時間までの期間において,早期目標指向療法に割付けられた患者は,標準療法に割付けられた患者よりも,平均(±SD)の中心静脈酸素飽和度(70.4±10.7% 対 65.3±11.4%)が有意に高く,乳酸塩濃度(3.0±4.4 対 3.9±4.4 mmol/L)が低く,塩基欠乏(2.0±6.6 対 5.1±6.7 mmol/L)が少なく,pH(7.40±0.12 対 7.36±0.12)が高かった(すべての比較において p≦0.02).同じ期間の平均 APACHE II スコアは,早期目標指向療法に割付けられた患者で,標準療法に割付けられた患者よりも有意に低かったが(13.0±6.3 対 15.9±6.4,p<0.001),このことは臓器不全の重症度が低いことを示していた.

結 論

重症敗血症および敗血症性ショックの患者において,早期目標指向療法は,転帰に関して有意な有益性を与える.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1368 - 77. )