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November 29, 2001 Vol. 345 No. 22

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冠動脈疾患の予防におけるシンバスタチンとナイアシン,抗酸化ビタミン,あるいはそれらの併用
Simvastatin and Niacin, Antioxidant Vitamins, or the Combination for the Prevention of Coronary Disease

B.G. BROWN AND OTHERS

背景

脂質調整療法と抗酸化ビタミンは,どちらも冠動脈疾患の患者に有益であると考えられている.われわれは,冠動脈疾患で,高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールの血漿中濃度が低い患者において,シンバスタチン–ナイアシン,および抗酸化ビタミン療法の単独および併用の,心血管保護作用について検討した.

方 法

3 年間の二重盲検試験において,冠動脈疾患で,HDL コレステロール濃度が低く,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール濃度が正常な患者 160 例を,次の 4 つのレジメンの 1 つに無作為に割付けた:シンバスタチンとナイアシンの併用,抗酸化薬,シンバスタチン–ナイアシンと抗酸化薬の併用,またはプラセボ.エンドポイントは,冠動脈狭窄の変化を示す動脈造影法の所見と,心血管系イベント(死亡,心筋梗塞,脳卒中,または血行再建)の初回発生であった.

結 果

LDL および HDL コレステロールの平均濃度は,抗酸化薬群とプラセボ群では変化しなかった;シンバスタチン–ナイアシン群ではこれらの濃度が大きく変化した(それぞれ,-42%および +26%変化).シンバスタチン–ナイアシン併用での HDL2 の増加による保護作用の増大は,抗酸化薬との同時併用療法によって減弱された.平均狭窄は,プラセボでは 3.9%,抗酸化薬では 1.8%(プラセボ群との比較で p=0.16),シンバスタチン–ナイアシンと抗酸化薬の併用では 0.7%(p=0.004)進行し,シンバスタチン–ナイアシン単独では 0.4%退縮した(p<0.001).臨床エンドポイントの発生頻度は,プラセボ群で 24%,シンバスタチン–ナイアシン単独で 3%,抗酸化療法群で 21%,シンバスタチン–ナイアシンと抗酸化薬の併用で 14%であった.

結 論

シンバスタチンとナイアシンの併用は,冠動脈疾患で HDL 濃度が低い患者において,顕著な臨床的有益性と血管造影法で測定できる有益性を与える.このような状況における抗酸化ビタミンの使用は,問い直さなければならない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1583 - 92. )