November 29, 2001 Vol. 345 No. 22
血漿ホモシステイン濃度を低下させたあとの冠動脈再狭窄率の減少
Decreased Rate of Coronary Restenosis after Lowering of Plasma Homocysteine Levels
G. SCHNYDER AND OTHERS
われわれはすでに,経皮的冠動脈形成術後における総血漿ホモシステイン濃度の上昇と再狭窄との関連について証明している.血漿ホモシステイン濃度を低下させることの冠動脈形成術後の再狭窄に対する効果を評価するために,この試験をデザインした.
前向き二重盲検無作為試験において,205 例の患者(平均 [±SD] 年齢,61±11 歳)に,冠動脈形成術の成功後 6 ヵ月間にわたって葉酸(1 mg),ビタミン B12(400 μg),およびピリドキシン(10 mg)の併用 ―以下,葉酸療法と呼ぶ― またはプラセボの投与を行った.主要エンドポイントは,定量的冠動脈造影法によって評価した 6 ヵ月以内の再狭窄であった.副次的エンドポイントは,重大な心臓の有害事象の複合とした.
試験開始時の患者特性および冠動脈形成術後はじめての血管造影法の検査結果は,2 つの試験群でよく似ていた.葉酸療法は,血漿ホモシステイン濃度を 11.1±4.3 から 7.2±2.4 μmol/L へと有意に低下させた(p<0.001).追跡調査時点では,葉酸療法に割付けられた群において,最小内腔径が有意に大きく(1.72±0.76 対 1.45±0.88 mm,p=0.02),狭窄の程度も重症度が低かった(39.9±20.3% 対 48.2±28.3%,p=0.01).再狭窄率は葉酸療法に割付けられた患者で有意に低く(19.6% 対 37.6%,p=0.01),標的病変に対する血行再建の必要性も同様に低かった(10.8% 対 22.3%,p=0.047).
葉酸,ビタミン B12,およびピリドキシンの併用治療は,ホモシステイン濃度を有意に低下させて,冠動脈形成術後における再狭窄率および標的病変に対する血行再建の必要性を有意に減少させる.この費用のかからない治療は,副作用も軽微であり,冠動脈形成術を受ける患者の補助療法として検討すべきである.