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July 19, 2001 Vol. 345 No. 3

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特発性深部静脈血栓症に対する 3 ヵ月間と 1 年間の経口抗凝固薬療法の比較
Three Months versus One Year of Oral Anticoagulant Therapy for Idiopathic Deep Venous Thrombosis

G. AGNELLI AND OTHERS

背景

特発性深部静脈血栓症の患者では,3 ヵ月を超える抗凝固療法の継続が,治療期間中における再発性血栓症発生の減少と関連している.この有益性が抗凝固療法を中止したあとも持続しているのかどうかということに関しては,意見が分かれている.

方 法

特発性近位深部静脈血栓症の初回エピソードに対して,3 ヵ月間の経口抗凝固薬療法を完了した患者を,経口抗凝固薬の投与中止,あるいはさらに 9 ヵ月間の投与継続に無作為に割付けた.主要転帰は,最低 2 年の追跡調査期間における他覚的に確認された有症状の静脈血栓塞栓症の再発とした.

結 果

主要 intention-to-treat 解析では,静脈血栓塞栓症が再発した患者は,経口抗凝固薬療法の継続に割付けられた 134 例の患者で 21 例であったのに対し(15.7%;平均追跡調査期間,37.8 ヵ月間),経口抗凝固薬療法の中止に割付けられた 133 例の患者でも 21 例で(15.8%;平均追跡調査期間,37.2 ヵ月間),相対危険度は 0.99(95%信頼区間,0.57~1.73)であった.無作為化から(すべての患者が 3 ヵ月間の抗凝固療法を終了してから)最初の 9 ヵ月目までの期間でみてみると,この期間に経口抗凝固薬療法を受けていた患者では 1 例(0.7%)に再発が認められたのに対して,経口抗凝固薬療法の中止に割付けられた患者では 11 例(8.3%)に再発した(p = 0.003).治療を中止したあとの再発率は,経口抗凝固薬療法を 3 ヵ月で中止した患者では患者-年当り 5.1%,経口抗凝固薬療法をさらに 9 ヵ月間受けた患者では患者-年当り 5.0%であった.致死的な再発は 1 件もなかった.抗凝固療法を延長していた期間に,非致死的な大出血が 4 例(3.0%)に発現した.

結 論

特発性深部静脈血栓症の患者において,抗凝固療法の期間を 1 年間に延長することに関連して得られる臨床有益性は,抗凝固療法を中止したあとは持続しない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 165 - 9. )