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December 20, 2001 Vol. 345 No. 25

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経口避妊薬と心筋梗塞のリスク
Oral Contraceptives and the Risk of Myocardial Infarction

B.C. TANIS AND OTHERS

背景

経口避妊薬の使用と心筋梗塞のリスクとの関連は,すべてではないものの,いくつかの研究において見出されている.われわれは,この関連について,第 3 世代(たとえば,デソゲストレル [desogestrel] やゲストデン [gestodene] など)および第 2 世代(たとえばレボノルゲストレル [levonorgestrel])の経口避妊薬に含有されているプロゲスターゲンの種類,エストロゲンの含有量,およびプロトロンビンに異常を引き起すような突然変異の有無に従って検討した.

方 法

全国規模の人口をベースとした症例対照研究において,1990~95 年の期間に心筋梗塞をはじめて発症し,年齢が 18~49 歳までの女性 248 例と,心筋梗塞の病歴がなく,年齢,指標イベントの発生暦年,および居住地域が一致した対照女性 925 例を同定し,研究に組み入れた.経口避妊薬の使用と主な心血管系の危険因子に関する情報は,被験者から提供された.第 V 因子の Leiden およびプロトロビン遺伝子の G20210A 突然変異の分析は,患者の 217 例と対照の 763 例において実施した.

結 果

何らかの配合経口避妊薬を使用していた女性では,非使用者と比較した心筋梗塞のオッズ比は 2.0(95%信頼区間,1.5~2.8)であった.補正オッズ比は,第 2 世代の経口避妊薬を使用していた女性では 2.5(95%信頼区間,1.5~4.1),第 3 世代の経口避妊薬を使用していた女性では 1.3(95%信頼区間,0.7~2.5)であった.経口避妊薬を使用していた女性の中では,プロトロンビンに異常を起す突然変異を保因していなかった女性のオッズ比は 2.1(95%信頼区間,1.5~3.0)で,突然変異を保因していた女性では 1.9(95%信頼区間,0.6~5.5)であった.

結 論

心筋梗塞のリスクは,第 2 世代の経口避妊薬を使用していた女性で上昇していた.第 3 世代の経口避妊薬の使用に関する結果は,結論を導けるほど決定的なものではなかったが,そのリスクは第 2 世代の経口避妊薬に関連するリスクよりも低いということを示唆するものであった.心筋梗塞のリスクは,経口避妊薬を使用していた女性では,プロトロンビンの異常を引き起す突然変異の保因の有無に関係なく,同程度であった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1787 - 93. )