August 30, 2001 Vol. 345 No. 9
静脈瘤からの再出血の予防を目的としてナドロールと一硝酸イソソルビドの併用治療と比較した内視鏡的結紮
Endoscopic Ligation Compared with Combined Treatment with Nadolol and Isosorbide Mononitrate to Prevent Recurrent Variceal Bleeding
C. VILLANUEVA AND OTHERS
食道静脈瘤からの急性出血のエピソード後の患者は,再出血および死亡のリスクが高い.再出血を予防するための二つの治療法 ─内視鏡的結紮と,ナドロールと一硝酸イソソルビドの併用薬物療法─ を比較した.
食道静脈瘤出血によって入院していた肝硬変の患者 144 例を,内視鏡的結紮の治療(72 例)または併用薬物療法(72 例)に無作為に割付けた.結紮の治療セッションは,静脈瘤が消失するまで 2~3 週間ごとに繰り返し実施された.ナドロールの平均(±SD)投与量は 96±56 mg/日,イソソルビドの平均投与量は 66±22 mg/日であった.主要エンドポイントは,再出血,合併症,および死亡であった.
追跡調査期間の中央値は 21 ヵ月間であった.再出血は,合計で,結紮群の患者の 35 例および薬物治療群の患者の 24 例において発現した.再発の確率は,門脈圧亢進に関連したすべてのエピソード(p = 0.04)および静脈瘤再出血(p = 0.04)のどちらについても,薬物治療群で低かった.重大な合併症が,結紮治療患者の 9 例(7 例が出血性食道潰瘍,2 例が嚥下性肺炎)と,薬物治療患者の 2 例(両者とも徐脈および呼吸困難)において認められた(p = 0.05).結紮群では 30 例の患者が死亡したのに対して,薬物治療群では 23 例の患者が死亡した(p = 0.52).再出血の確率は,治療に対する血行力学反応が得られた患者で低く(1 年目の時点において 18%,これに対し,反応が得られなかった患者では 54%;p<0.001),生存の確率はこれらの患者において高かった(1 年目の時点において,94% 対 78%,p = 0.02).なお,血行力学反応とは,肝静脈圧勾配の試験開始時からの 20%以上の低下または 12 mmHg 未満への低下として定義されていた.
ナドロールと一硝酸イソソルビドの併用療法は,再出血の予防において,内視鏡的結紮よりも有効であり,重大な合併症の発生率の低下と関連している.