The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 8, 1997 Vol. 336 No. 19

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

心筋梗塞を起こしたことのない人々における左室拡大とうっ血性心不全のリスク
LEFT VENTRICULAR DILATATION AND THE RISK OF CONGESTIVE HEART FAILURE IN PEOPLE WITHOUT MYOCARDIAL INFARCTION

R.S. VASAN, M.G. LARSON, E.J. BENJAMIN, J.C. EVANS, AND D. LEVY

背景

左室拡大は,心筋梗塞後の心室機能不全およびうっ血性心不全の前駆症状としてよく認識されている.まだ心筋梗塞を起こしたことのない人々における心不全のリスクに及ぼす左室拡大の影響はわかっていない.

方 法

心筋梗塞の既往がなく,うっ血性心不全のない被験者 4,744 人(女性 2,661 人,男性 2,083 人)について,M モード心エコー法によって測定した左室拡張末期径と左室収縮末期径の,うっ血性心不全との関係を調べた.性別層化比例ハザード回帰モデルを用いて,年齢,血圧,高血圧治療,body-mass index,糖尿病,心臓弁膜疾患,一過性心筋梗塞について補正後,ベースライン時の左室内径とその後のうっ血性心不全のリスクとの関連を調べた.

結 果

11 年の追跡期間中に,うっ血性心不全は 74 人(男性 38 人,女性 36 人)に発症した.うっ血性心不全の危険因子補正ハザード比は,高さを指標として左室拡張末期径が 1 SD 増加するごとに 1.47(95%信頼区間,1.25~1.73)であった.左室収縮末期径を用いても同様の結果を得た(ハザード比,1.43;95%信頼区間,1.24~1.65).

結 論

左室内径の拡大は,心筋梗塞を起こしたことのない男女におけるうっ血性心不全の危険因子である.左室径を知ることは,おそらく無症状の左室機能不全患者の同定に役立ち,従来の危険因子に基づいて行われるうっ血性心不全のリスク予測を向上させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1350 - 5. )