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March 20, 1997 Vol. 336 No. 12

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家族性腺腫様ポリポーシスに対する市販の APC 遺伝子検査の利用と解釈
THE USE AND INTERPRETATION OF COMMERCIAL APC GENE TESTING FOR FAMILIAL ADENOMATOUS POLYPOSIS

F.M. GIARDIELLO AND OTHERS

背景

家族性の癌に関連した遺伝子に対して市販の検査が利用できるようになったことは,これらの検査が患者に及ぼす影響に関する懸念をもたらした.家族性腺腫様ポリポーシスは,大腸腺腫様ポリポーシス(adenomatous polyposis coli, APC)遺伝子の構造遺伝子変異によって引き起される常染色体優性疾患で,予防的結腸切除を行わなければ結腸直腸癌を引き起す.われわれは,市販の APC 遺伝子検査の臨床的使用について評価した.

方 法

1995 年に検査を受けた 125 家族の患者 177 人の全国サンプルについて,医師および遺伝子カウンセラーによる電話インタビューを通じて,APC 遺伝子検査の適応,インフォームドコンセントの有無,検査前の遺伝子カウンセリングを受けたか否か,そして結果の解釈を評価した.

結 果

被検査患者 177 人中,83.0%に家族性腺腫様ポリポーシスの臨床的特徴を認めたか,もしくはこの疾患のリスクがあった ― いずれの場合もこの検査を行う根拠のある適応であった.症状が起る前の検査で適切な方策が用いられたのは,79.4%(患者 63 人中 50 人)であった.検査前に遺伝子カウンセリングを受けたのはわずか 18.6%(177 人中 33 人)で,書面でのインフォームドコンセントを提出したのはわずか 16.9%(166 人中 28 人)であった.症例の 31.6%では,医師が検査結果の解釈を誤っていた.従来は検査の適応のない患者では,陽性結果の発生率はわずか 2.3%であった(44 人中 1 人).

結 論

家族性腺腫様ポリポーシスに対する遺伝子検査を受けた患者は,しばしば不適切なカウンセリングを受け,誤った解釈結果を知らされている.遺伝子検査を指示するさいには,医師は遺伝子カウンセリングを行う準備をするべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 823 - 7. )