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April 3, 1997 Vol. 336 No. 14

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一見健康にみえる男性における炎症,アスピリン,心血管疾患リスク
INFLAMMATION, ASPIRIN, AND THE RISK OF CARDIOVASCULAR DISEASE IN APPARENTLY HEALTHY MEN

P.M. RIDKER, M. CUSHMAN, M.J. STAMPFER, R.P. TRACY, AND C.H. HENNEKENS

背景

炎症は,アテローム性血栓症の発症機序に重要である可能性がある.われわれは,炎症が初回血栓イベントのリスクを増加させるか否か,またアスピリン投与がそのリスクを減少させるか否かを検討した.

方 法

医師の健康研究(Physicians' Health Study)に参加し,一見健康にみえたが,後に心筋梗塞,脳卒中,静脈血栓症のいずれかを発症した男性 543 人と,8 年以上に及ぶ追跡期間中に血管疾患を報告しなかった試験参加者 543 人において,全身性炎症マーカーである血漿 C 反応性蛋白(CRP)を測定した.試験開始時に,被験者をアスピリンを投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.

結 果

ベースラインの血漿 CRP 値は,後に心筋梗塞を起こした男性では,血管イベントを起こさなかった男性よりも高く(1.51 対 1.13 mg/L,p<0.001),後に脳梗塞を起こした男性も高かったが(1.38 対 1.13 mg/L,p=0.02),後に静脈血栓症を起こした男性では差はなかった(1.26 対 1.13 mg/L,p=0.34).CRP 値が最高四分位群の男性では,心筋梗塞のリスクが最低四分位群の男性の 3 倍であり(相対リスク,2.9;p<0.001),脳梗塞のリスクが 2 倍であった(相対リスク,1.9:p=0.02).リスクは長期にわたって一定しており,喫煙の影響を受けず,その他の脂質関連・非脂質関連の危険因子とは独立していた.アスピリンの使用は,最高四分位群の男性では心筋梗塞リスクの有意な減少(55.7%減少,p=0.02)と関連したが,最低四分位群の男性では,それよりもはるかに小さい,有意ではないリスク減少(13.9%減少,p=0.77)と関連した.

結 論

ベースラインの血漿 CRP 値は,その後の心筋梗塞および脳卒中のリスクを予測する.さらに,アスピリンの使用に伴う初回心筋梗塞リスクの減少は,CRP 値と直接関連していると思われ,心血管疾患の予防には,抗炎症薬が臨床的に有用である可能性を高めている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 973 - 9. )