October 16, 1997 Vol. 337 No. 16
急性心筋梗塞に対するレテプラーゼとアルテプラーゼとの比較
A COMPARISON OF RETEPLASE WITH ALTEPLASE FOR ACUTE MYOCARDIAL INFARCTION
THE GLOBAL USE OF STRATEGIES TO OPEN OCCLUDED CORONARY ARTERIES (GUSTO III) INVESTIGATORS
レテプラーゼ(遺伝子組換え型プラスミノーゲン活性化因子)は,アルテプラーゼ組織プラスミノーゲン活性化因子の変異株で,その親分子より半減期が長く,急性心筋梗塞の予備試験において血管造影で優れた結果を生じた.この大規模臨床試験において,われわれは,これら二つの血栓溶解薬の有効性と安全性を比較した.
20 ヵ国 807 の病院から,ST 上昇または脚ブロックの症状発現後 6 時間以内に入院した 15,059 人を,2:1 の割合で,レテプラーゼ 10 MU を 30 分間隔で 2 回投与する群と,アルテプラーゼを 90 分間で最大 100 mg 急速点滴静注する群に無作為に割り付けた.主要仮説は,30 日死亡率はレテプラーゼのほうが有意に低い,というものであった.
30 日死亡率はレテプラーゼ群で 7.47%,アルテプラーゼ群で 7.24%であった(補正 p=0.54;オッズ比,1.03;95%信頼区間,0.91~1.18).死亡率の絶対差に関する 95%信頼区間は,-1.1~0.66%であった.レテプラーゼ投与患者の 1.64%と,アルテプラーゼ投与患者の 1.79%に脳卒中が起こった(p=0.50).死亡または障害の残る非致死性脳卒中の複合エンドポイントの発生率は,レテプラーゼ群 7.89%,アルテプラーゼ群 7.91%であった(p=0.97;オッズ比,1.0;95%信頼区間,0.88~1.13).
アルテプラーゼの急速点滴静注と比較して,レテプラーゼは,投与が容易であるものの,急性心筋梗塞の治療にさらなる生存利益をもたらさなかった.その他の結果,とくに,死亡または障害の残る非致死性脳卒中の複合エンドポイントの結果は,二つのプラスミノーゲン活性化因子で非常に類似していた.