November 27, 1997 Vol. 337 No. 22
冠動脈バイパスグラフト手術後の心室性不整脈の高リスク患者における植込み型心臓除細動器の予防的使用
PROPHYLACTIC USE OF IMPLANTED CARDIAC DEFIBRILLATORS IN PATIENTS AT HIGH RISK FOR VA AFTER CORONARY-ARTERY BYPASS GRAFT SURGERY
J.T. BIGGER, JR.
冠動脈心疾患,左室機能不全,および加算平均心電図上に異常を有する患者は,突然死のリスクが増大している.われわれは,そのような患者における冠動脈バイパス手術時の心臓除細動器の予防的植込みの生存に及ぼす効果を評価した.
5 年間に,37 の臨床施設で待期的冠動脈バイパス手術を予定している患者全員をスクリーニングした.患者は,80 歳未満で,左室駆出率が 0.36 未満,加算平均心電図上で異常を認める場合に,試験適格とした.適格患者 1,422 人を同定し,1,055 人を登録し,900 人を,植込み型心臓除細動器による治療(446 人),または対照群(454 人)に無作為に割り付けた.試験の主要エンドポイントは全死亡とし,2 群を intention-to-treat 解析によって比較した.
2 群のベースライン特徴は同様であった.平均(±SD)追跡期間 32±16 ヵ月のあいだに,除細動器群では死亡 101 例(心因性は 71 例)を認め,対照群では死亡 95 例(心因性は 72 例)を認めた.全死因死亡のハザード比は 1.07(95%信頼区間,0.81~1.42;p=0.64)であった.除細動器療法と,あらかじめ選択した 10 個のベースライン共変量のいずれのあいだにも,統計学的に有意な相互作用を認めなかった.
冠動脈心疾患を有し,左室駆出率が低下し,加算平均心電図異常を認める患者において,待期的冠動脈バイパス手術時に除細動器を予防的に植え込んだが,生存の改善の証拠を認めなかった.