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December 4, 1997 Vol. 337 No. 23

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心筋トロポニン T またはトロポニン I の迅速検査による急性胸痛患者の救急室でのトリアージ
EMERGENCY ROOM TRIAGE OF PATIENTS WITH ACUTE CHEST PAIN BY MEANS OF RAPID TESTING FOR CARDIAC TROPONIN T OR TROPONIN I

C.W. HAMM AND OTHERS

背景

救急室における急性胸痛患者の評価は,時間を浪費し,費用が高く,その上しばしば不確かな診断となる.われわれは,急性胸痛患者の評価における心筋トロポニン T およびトロポニン I のベッドサイドでの検出法の有用性をプロスペクティブに検討した.

方 法

心電図上で ST 部分の上昇を認めない,12 時間未満の範囲で急性胸痛を訴える一連の患者 773 人において,特異的モノクローナル抗体を用いた感受性の高い定性的ベッドサイド試験によって,トロポニン T およびトロポニン I の状態(陽性または陰性)を 2 回以上測定した.試験は,胸痛発症から少なくとも 6 時間以降に 1 サンプルが得られるように,到着時および 4 時間以上経過した後に実施した.トロポニン T の結果は,治療を担当している医師に利用可能であった.

結 果

トロポニン T 試験は,患者 123 人(16%)で陽性,そしてトロポニン I 試験は患者 171 人(22%)で陽性であった.心筋梗塞にいたった患者 47 人中,トロポニン T 試験は 44 人(94%)で陽性,そしてトロポニン I 試験は 47 人全員で陽性であった.不安定狭心症患者 315 人では,トロポニン T 試験は患者 70 人(22%) で陽性,そしてトロポニン I 試験は患者 114 人(36%)で陽性であった.30 日の追跡期間に,死亡 20 例および非致命的心筋梗塞 14 例を認めた.トロポニン T およびトロポニン I は,心イベントの強力な独立した予測因子であることが判明した.試験陰性患者におけるイベント発生率は,トロポニン T ではわずか 1.1%,そしてトロポニン I では 0.3%にすぎなかった.

結 論

心特異的トロポニンのベッドサイド試験は,急性冠症候群における心筋細胞損傷の早期発見に対して非常に感度が高い.試験結果が陰性であれば,リスクが低く,急性胸痛患者の救急室からの早期かつ安全な退院を可能にする.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 1648 - 53. )