December 4, 1997 Vol. 337 No. 23
喘息児におけるベクロメタゾン,サルメテロール,プラセボの比較
A COMPARISON OF BECLOMETHASONE, SALMETEROL, AND PLACEBO IN CHILDREN WITH ASTHMA
F.E.R. SIMONS AND THE CANADIAN BECLOMETHASONE DIPROPIONATE–SALMETEROL XINAFOATE STUDY GROUP
グルココルチコイド吸入は現在,小児の持続型喘息の長期コントロールに対する選択治療法である.サルメテロールのような長時間作用型 β2 アドレナリン受容体作動薬の役割を明らかにする必要がある.
臨床的に安定した喘息を有する,前回のグルココルチコイド使用から 1 ヵ月未満の小児 241 人(平均 ±[SD] 年齢,9.3±2.4 歳)に関する無作為化二重盲検プラセボ対照平行群 1 年臨床試験を実施した.ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(200 μg を 1 日 2 回)吸入を,サルメテロールキシナホ酸塩(50 μg を 1 日 2 回)およびプラセボ(乳糖)と比較した.主要転帰の指標である気道反応性(メタコリン刺激によって評価)を治療前;治療後 3,6,9,12 ヵ月(試験薬投与の中止から 12 時間後と 36 時間後);および治療終了後 2 週間目に評価した.肺活量測定,症状,救済薬の使用(アルブテロール 200 μg を必要に応じて吸入),および副作用についても評価した.
1 ヵ月目~12 ヵ月目を通じて,ベクロメタゾンでは,気道過敏性がサルメテロールよりも有意に少なく(p=0.003),プラセボよりも有意に少なかった(p<0.001).この効果は治療終了後 2 週間で失われた.プラセボと比較して,ベクロメタゾンは,最大呼気流量の朝夕の変動が少なく(p=0.002),サルメテロールも少なかった(p=0.02).またベクロメタゾンは,救済療法としてのアルブテロールの必要性が少ないことと関連し(p<0.001),喘息増悪による投薬中止が少ないことに関連したが(p=0.03),サルメテロールはそうではなかった(それぞれ,p=0.09,p=0.55).1 ヵ月目~12 ヵ月目のあいだの身長の伸びは,ベクロメタゾンを投与した児では 3.96 cm であったのに対し,サルメテロール群では 5.40 cm(p=0.004),プラセボ群では 5.04 cm(p=0.018)であった.治療終了後に身長は測定しなかった.
ベクロメタゾンは,気道過敏性の減少と喘息症状のコントロールに有効であったが,身長の伸びが減少した.サルメテロールは,気道過敏性の減少,症状のコントロールに関してはベクロメタゾンほど有効ではなかったが,有効な気管支拡張薬であり,反跳現象としての気道過敏性,症状のマスキング,副作用のいずれとも関連しなかった.