December 11, 1997 Vol. 337 No. 24
米国の中年および高齢者におけるアルコール摂取と死亡率
ALCOHOL CONSUMPTION AND MORTALITY AMONG MIDDLE-AGED AND ELDERLY U.S. ADULTS
M.J. THUN AND OTHERS
アルコール摂取は,生存に有害な作用と有益な作用の両方をもたらす.われわれは,米国の成人の死亡率に関する大規模前向き試験においてこれらのバランスを調べた.
1982 年にアルコールとたばこの使用を報告した男女 490,000 人(平均年齢,56 歳;範囲,30~104 歳)において,追跡期間 9 年のあいだに 46,000 人が死亡した.その他の危険因子について補正後,ベースラインのアルコール摂取量の分類別に死因別死亡率と全死因死亡率を比較し,飲酒・喫煙習慣と 35~69 歳で死亡する累積確率との関連を検討した.
飲酒に関連した死因は,肝硬変とアルコール中毒症;口腔癌,食道癌,咽頭癌,喉頭癌,肝癌を併せたもの;女性における乳癌;男性における傷害およびその他の外因であった.乳癌の死亡率は,毎日 1 杯以上飲むと報告した女性では非飲酒者より 30%高かった(相対リスク,1.3;95%信頼区間,1.1~1.6).すべての心血管疾患による死亡率は,毎日 1 杯以上飲むと報告した男性(相対リスク,0.7;95%信頼区間,0.7~0.8)および女性(相対リスク,0.6;95%信頼区間,0.6~0.7)では非飲酒者より 30~40%低く,摂取量とはほとんど関連しなかった.全死亡率は,毎日約 1 杯飲むと報告した男女で最低であった.全死因死亡率は,とくに心血管疾患のリスクがより低い 60 歳未満の成人では,飲酒量の増加に伴って増加した.アルコール摂取により,中年(35~69 歳)での全死亡リスクはわずかに減少するが,喫煙によりこのリスクはほぼ倍加した.
この中年および高齢者集団では,中等度のアルコール摂取により全死亡率がわずかに低下した.この利益は年齢および背景となる心血管リスクに一部依存し,たばこによって生じる大幅なリスクの増大よりはるかに小さかった.