August 21, 1997 Vol. 337 No. 8
授乳期および離乳後の骨密度に及ぼすカルシウム補充の効果
THE EFFECT OF CALCIUM SUPPLEMENTATION ON BONE DENSITY DURING LACTATION AND AFTER WEANING
H.J. KALKWARF, B.L. SPECKER, D.C. BIANCHI, J. RANZ, AND M. HO
授乳期の女性は,カルシウムが母乳で失われるため,骨質が失われる可能性がある.われわれは,カルシウム補充が授乳期の骨量喪失を予防するか否か,または離乳後の骨量の回復を増強するか否かを検討した.
われわれは,分娩後女性においてカルシウム補充(1 g/日)に関する二つの無作為プラセボ対照臨床試験を実施した.一つの臨床試験 (授乳試験) では,授乳女性 97 人および非授乳女性 99 人が,分娩後平均(±SD)16±2 日目に登録した.第二の臨床試験 (離乳試験) では,登録後 2 ヵ月以内に離乳した授乳女性 95 人と非授乳女性 92 人が分娩後 5.6±0.8 ヵ月に登録した.登録時,および 3 ヵ月後と 6 ヵ月後に,全身,腰椎,そして前腕の骨密度を測定した.
腰椎の骨密度は,カルシウム服用授乳女性では 4.2%減少し,プラセボ服用女性では 4.9%減少し,非授乳女性ではそれぞれ 2.2 および 0.4%増加した(授乳の効果に関して p < 0.001;カルシウムの効果に関して p = 0.01).離乳後の腰椎の骨密度は,カルシウム服用授乳女性で 5.9%そしてプラセボ服用授乳女性で 4.4%増加した;非授乳女性ではそれぞれ,2.5 および 1.6%増加した(授乳およびカルシウムの効果に関して,p < 0.001).授乳もしくはカルシウム補充のいずれも,前腕の骨密度には効果を及ぼさなかった.カルシウム補充は母乳中のカルシウム濃度に効果を及ぼさなかった.
カルシウム補充は授乳期の骨量の喪失を予防せず,離乳後の骨密度の回復をごくわずかに増強するのみである.