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August 21, 1997 Vol. 337 No. 8

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進行性 B 細胞リンパ腫における予後因子としての p53 遺伝子変異
MUTATIONS OF THE p53 GENE AS A PROGNOSTIC FACTOR IN AGGRESSIVE B-CELL LYMPHOMA

A. ICHIKAWA AND OTHERS

背景

p53 遺伝子の変異はいくつかのタイプの癌では予後不良と関連がある.われわれは,進行性 B 細胞リンパ腫患者における p53 変異の予後的重要性を調べた.

方 法

これまで無処置の進行性 B 細胞リンパ腫患者 102 人において,リンパ腫細胞における検出可能な p53 変異の有無と化学療法に対する反応性と総生存率との関係を調べた.p53 遺伝子の変異は,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅後一本鎖コンフォメーション多形性(SSCP)分析および直接塩基配列決定によって確認した.

結 果

進行性 B 細胞リンパ腫の症例 102 例中 22 人(22%)に p53 変異を認めた.p53 変異を有する患者(22 人中 6 人,27%)では,野生型 p53 遺伝子を有する患者(80 人中 61 人,76%)よりも完全寛解率が有意に低かった(p < 0.001).全生存率は,p53 変異を有する患者のほうが野生型 p53 遺伝子を有する患者よりも有意に低く,Kaplan–Meier の 5 年生存推計値はそれぞれ,16%および 64%であった(p < 0.001).国際予後指標からの予後因子を含めた多変量解析により,p53 変異は完全寛解率および生存に独立した影響があることが証明された.国際予後指標に従って患者を分類すると,高-中等度リスク群と高リスク群の患者では,p53 変異の影響を認めなかった.しかし,これらの変異は,低リスク・低-中等度リスク群では,野生型 p53 遺伝子を有する患者よりも完全寛解率が低いこと(33% 対 91%)(p < 0.001),生存率が低いこと(5 年で 27% 対 81%)に有意に関連した.

結 論

p53 遺伝子の変異は進行性 B 細胞リンパ腫患者では予後不良に関連する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 529 - 34. )